給与・税金

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日本で働く外国人ITエンジニアの給与・年収の相場とは?

外国人のITエンジニアを募集する日本企業は、人手不足を背景に増加しています。 その一方で、給与・待遇について、外国人のニーズにマッチするものを提供できるのかどうかは、会社ごとにかなり幅があるといってよいでしょう。 そこで、まず、給与について、満足のいく水準・日本の標準的な相場はどれくらいか、ITエンジニアについて調査した結果をご説明します。また、待遇面で注意したいところ、そして迷った時の相談先についてもご紹介します。 1.給与相場が意味を持つ理由 日本人の給与と同等以上でないとビザが下りない? 外国人ITエンジニアの皆さん、突然ですが、外国人採用しようと思う会社の動機は何かわかりますか? 大きく分けて2パターンあります。 ・日本にいない人材を採用したい(日本人にないスキルを持っている人材) ・日本と同等の人材を採用したい 前者は、日本人にはない高いスキルを持っておえり、住居や食費・あるいはメイドまですべて会社の経費で賄うくらいの好待遇を受けられる可能性があります。しかし、現実的には非常に少ないです。 もしもこの記事を目にされているあなたが、日本で役に立つ稀少な技術を持っている場合は、給与・待遇は強気で交渉しましょう。交渉の際には、エージェントを通して交渉するのもコツの一つです。 これに対して、「給与相場」が問題になるエンジニアは後者ですが、経済的メリットの他、在留制度からも日本の相場感を知っておくことが転職のカギになります。 外国人には在留許可+就労許可が必要です。いわゆるビザのことです。日本の場合、法務省令で日本人と同等の給与でないと、就労許可は下りないことになっています。そのため、日本で就労する際には「日本のエンジニアの給与相場+外国人ならではの待遇」を検討するようにするべきなのです。 なお、外国人のITエンジニアが日本で働くには、「技術」の在留資格=就労ビザで働くのが通常です。これらのビザは、会社がサポートして取得することが通常です。ビザのサポートがあることも、当たり前のこととしないで、あるならどこまでのサポートをしてくれるか会社に確認するようにしましょう。 2.ITエンジニアの給与相場は?日本人の相場を知っておこう 在留資格を取得するにも、重要な給与ですが、日本人ITエンジニアの給与相場はどうなっているでしょう。DODAが調査し、2020年1月20日に公表された職種別の平均給与を見ると表のとおりです。 表で見ると、上流工程のITエンジニアの収入が高め、下流が低め、ということができそうです。しかし、年齢も加味して考えますと、経験豊富なITエンジニアは下流でも600万円以上の年収が50歳以降も見込め、サラリーマンの平均年収である441万円(2018年度、国税庁調べ)は大きく上回ります。 さらに、年収の相場は、職種の他、業種・あるいは領域別でも相場があります。 例えばこのリンク先の調査(平均年収.jp)にあるように、同じSEで比較した場合、金融系のSE・情報通信系のSEに見られるような、技術要件が高く、かつ、好景気の業界のSEのほうが年収の相場は高くなっています。 業種別のSE平均年収は、最高の金融・保険業で1660万円を超え、情報通信業でも1180万円を超えるのに対し、最低の運輸・郵便業は408万円と大きな幅があります。このサイトのデータだと、金融・保険業や情報通信業があまりに高過ぎるので、正直データに偏りが見られると思いますが、どの業種を選ぶのか、また自分の技術がどの程度のレベルなのかにより、同じSEでも給与が大きく変わってくる可能性は高いと言えるでしょう。 表:DODA調べ 技術系(IT/通信)エンジニア職種別平均年(2019年) ところで、ITエンジニアの年収でよく言われるのは「600万円の壁」です。600万円をこえた年収で働くことが難しいことや、600万円を超えてくると給与の満足度が上がることから、よく引き合いに出される年収の額です。 職種別の一覧をみると、平均年収が600万円をこえる職種は全年代を通した調査結果では上流の少数の職種です。 しかし、年齢が40歳を超えてくると、平均年収が600万円を超える職種が少し多くなってきます。50歳を超えると、大部分の職種で平均年収は600万円以上となります。例えばデバッグ・テスターも年収の水準が上がり、661万円が平均年収となり、はるかに全サラリーマン平均年収を超えてきます。地味・地道といわれる仕事ですが、日本で長く働くことを考えると、魅力が上がる職種の一つと考えられるでしょう。 このように、給与は年齢や経験も加味して考えて、納得できる給与であるといえるか、検討することが必要です。 3.外国人ITエンジニア 給与以外の待遇で気をつけることは? 給与相場を考えるうえで、給与「だけ」を考えるのはおすすめしません。 例えば同じ550万円の給与でどの会社がよいか、悩む場合は次のような要素を考えることが重要です。 ・残業時間の多さ ・福利厚生 ・会社の研修やメンターなどの制度 ・家族のビザ取得サポート 残業時間と合わせてハードワークすぎる職場ではないかなど、実際の働き方を知っておかないと給与だけで判断してしまうのは健康も損なう可能性すらあります。気をつけたいところです。 福利厚生の中では、特別休暇の他、例えば食費補助や会社からの食事支給など、根を詰めて働くITエンジニアの感覚にフィットして、なおかつ経済的にもメリットのある制度・健康診断は会社が負担するか、または自費での負担が軽減できるか、など、出費の大きな費目のもの・出費が頻繁になるものは特にチェックしておくとよいでしょう。 外国籍の方が日本で生活する以上は日本語もブラッシュアップが常に必要になるため、給与の中から自己投資することを考えると、日本語学習・研修については会社の補助や、会社の独自の教育プログラムなどがあったほうがよいでしょう。 また、家族の帯同の際に、家族のビザサポートがあるかどうかも、自己負担額を減らしてくれます。ビザ取得の経験のある会社の後ろ盾があると、個人で手続するより相当安心できるものです。家族にもサポートがあるかどうか、必ず確認しておきたいところです。 4.3. 外国人ITエンジニア、悩んだ時に効くサービスはG Talent そういうわけで、外国人ITエンジニアの給与相場は、ビザを取るときにも必要になるので、同種の日本人の職種・業種と同じ相場感のある給与を目指して会社と交渉しましょう。 しかし、他にもビザサポート・福利厚生や教育研修プログラムなどで、実質的に給与に影響の出る要素は多いものですし、これらを一つ一つ交渉していくのはなかなか骨の折れる作業ですし、最終的に絞り込んだ会社数社で悩むことも少なくないでしょう。 この点、外国人専門の採用サービス・エージェントを使うとメリットが大きいと考えられます。 例えばG Talentのサービスなら、IT人材に精通した、バイリンガルのサポートを受けることができます。交渉の際にも、個人と会社の橋渡しをしっかりしてくれます。言葉の点で悩むことはありません。 さらに、G Talentは母体が長年の実績のある英会話スクールです。会社の研修プログラムにもノウハウがあり、採用企業の教育研修プログラムにも詳しいので、客観的なアドバイス・インサイトを提供してくれます。 それに、G Talentは、各企業のバイリンガル・グローバル人材の採用実績も熟知しています。実績のある企業の案件を多く持っているので、外国籍のITエンジニアの候補者の皆さんの選択肢がGTtalentのサービスを受けた後なら広がります。 外国人ITエンジニアの採用ならG Talent https://www.gtalent.jp/ まとめ 外国人ITエンジニアの給与相場は、日本人のITエンジニアの給与相場と同じに考えられます。ビザの要件にも日本人同等の給与であることが必要とされています。 おおむね、ITエンジニアの給与水準はサラリーマン全般を上回る水準であると考えられますが、下流工程の一部の若手にとっては飛びぬけて魅力的な給与ということでもないようです。 ただし、福利厚生・会社からの研修・ビザのサポートなどもトータルで見ないと外国人エンジニアの場合給与の実質額がわかりにくいものです。G Talentの専門のアドバイザーの協力も求め、ぜひ納得した給与で転職しましょう。

給与・税金

日本で働く外国人労働者は押さえておきたい日本の税金

外国人労働者が日本で働くようになると、「日本の税金」を支払うことになります。日本の税金に関する知識がないと、減額できるのに余分に支払ったり、支払いを忘れて遅延税も含めた高額な請求を受けたりするケースがあるようです。税金で損をしないよう、まずは日本の税金の基礎と外国人にかかる日本の税金について知っておきましょう。 日本の税金の種類 日本で生活する外国人労働者はもちろん、短期間だけ働くために来日した外国人も、日本で働いて収入を得た場合などには税金を支払わなければいけません。日本の税金は、国に支払う「国税」と都道府県・市区町村に支払う「地方税」に分かれます。以下の表は、日本の主な税金をリストアップしたものです。 このように日本には数多くの税金がありますが、すべてを理解する必要はありません。たとえば、消費税や酒税などの「消費にかかる税金」は買い物をするときに支払うお金に含まれているので、払い忘れや払い過ぎが起こることはありません。また、自動車税や固定資産税などの「財産にかかる税金」は、車や土地などの財産を持っている人が支払う税金で仕組みもシンプルです。 日本で生活する外国人労働者が最低限理解しておきたいのは、「所得税」「住民税」「相続税」の3つになります。 外国人労働者の所得税 所得税ってどんな税金? 所得税とは、お金を得たときに支払う税金のことです。日本では、所得のある人は所得税を支払う義務があり、原則として毎年1月1日からの1年間で得た所得のすべてに課税されます。 外国人労働者は自分の「区分」を確認しよう! 日本の所得税法は「居住形態」によって個人を区分しており、その区分によって課税される税金の範囲が変わってきます。外国人労働者は、自分が以下のどの区分に該当するかを把握する必要があります。 外国人労働者が所得税を支払う基準・範囲 日本で生活する外国人労働者が支払うべき所得税の課税対象は、以下のとおり3つの区分によって変わってきます。 外国人労働者も税金を減らせる「所得税の控除」とは? 所得税額を求める算式は、以下のとおりです。 所得税額 = 所得金額 × 税率 この算式はあくまでもベースであり、控除(税金を減額する制度)は考慮していません。日本の所得税には様々な控除があります。控除の方法は「所得控除」と「税額控除」に分かれ、所得控除は所得金額から一定額をマイナスし、税額控除は所得税額から一定額をマイナスします。両方の控除が適用になる場合は、算式を以下のように修正します。 所得税額 = (所得金額 - 所得控除額) × 税率 - 税額控除額 また、所得控除・税額控除には、それぞれ以下のような種類があります。 居住者である外国人労働者は、各控除の要件を満たしていれば、基本的に日本人と同じようにすべての控除を受けることができます。一方で非居住者は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3つの控除しか受けられません。 数ある控除のなかでも、日本で生活する外国人労働者が知っておくべき控除は「外国税額控除」です。 外国税額控除とは? 海外所得に所得税がかかる外国人労働者(居住者)は、母国と日本の両方に税金を支払わなければいけないのかという「二重納税」の問題があります。この二重納税を防ぐため、国同士が締結しているのが「租税条約」です。 日本と租税条約を結んでいる国から来た外国人労働者がいたとします。その人が母国で得た所得について母国で所得税を支払った場合、その旨を日本に申告すれば、母国で支払い済みの所得税額を日本の所得税からマイナスしてもらえます。この控除が「外国税額控除」と言われるものです。 ただし、日本と租税条約を結んでいない国出身の外国人は二重納税をする必要があります。また、租税条約を結んでいても、締結国によって外国税額控除の範囲などが異なるケースもあるので注意が必要です。 >> 租税条約締結国はこちらでご確認ください(我が国の租税条約ネットワーク 参照) 外国人労働者の住民税 住民税ってどんな税金? 住民税とは、住んでいる自治体に支払う税金のことで、道府県民税と市町村民税の2つからなります。 住民税額を求める算式は、以下のとおりです。 住民税額 = 所得割 + 均等割 ※ 所得割とは? 所得金額に応じて負担する金額。基本的に、前年の所得金額 × 10%(市町村民税6% + 道府県民税4%)で求める。 ※ 均等割とは? 所得金額にかかわらず同じ自治体に住む人が定額で負担する金額。地域差はあるが、大体5,000円前後。 外国人労働者が住民税を支払う基準・範囲 住民税は、国籍にかかわらず自治体に住所がある個人に対して課税される税金です。住所があるかどうかは、その年の1月1日を基準に判断されます。たとえば、2019年2月1日から日本で働いていても、2019年1月1日時点では日本に住所がなかった外国人労働者は、2019年の住民税は発生しません。 また、住民税の所得割は前年の1月1日からの1年間で得た所得のすべてに課税されます。逆に言えば、前年の所得がない外国人労働者には所得割は発生しません。 外国人労働者の相続税 相続税ってどんな税金? 相続税とは、死亡した人の財産(不動産・有価証券・預貯金など)を相続したときに支払う可能性のある税金です。 相続税額を求める算式は、以下のとおりです。 相続税額 = 相続財産 - 基礎控除 × 税率 - 控除額 相続税にも様々な控除があります。また、税率は10%~55%と相続財産の額によって変わってきます。 外国人労働者が相続税を支払う基準・範囲 外国人労働者が相続税を負担するかどうかは、以下のように、相続人(相続する人)や被相続人(亡くなった人)の住所が国内にあるか国外にあるか、また相続財産が国内にあるか国外にあるかによって変わってきます。 海外財産を相続するときも日本で相続税が発生するケースがありますが、この場合、二重払いが生じることになります。ですが、相続税についても所得税と同様に「外国税額控除」が適用されるため、租税条約を結んでいる国出身の外国人労働者は二重払いを回避できます。 まとめ 日本で税金を滞納すると督促状が届きます。督促状が届いても支払わないままでいると延滞税が膨らんでいき、最終的には行政処分を受けて給料や財産が差し押さえられます。 外国人労働者が会社員として日本で働くのであれば所得税・住民税は給料から天引きされるため、自分で支払う必要はありませんが、個人事業主やフリーランスとして働く場合は自分で支払う必要があります。払い忘れや払い過ぎを防ぐため、基本的な知識は身に付けておきましょう。 また、日本の相続税は非常に複雑なうえ10ヶ月という申告期限があります。万が一、相続が発生したら、すみやかに専門家に相談するのが賢明です。

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日本の給料の仕組みを解説!手取り目安と計算方法

日本の給料の仕組みをきちんと理解せず、貰えると思っていた給料よりも少ない額が口座に振り込まれていた…といった経験がある外国人は多いはず。そこで、給料の手取り額の目安と計算方法について解説していきます。 仕事をする者すべてが知るべき給与の仕組み 企業に貢献し、労働の対価として得ることができるお給料。それは、生活していく上で必要不可欠な財産です。月給などの固定給であれば、それが毎月の生活水準を決定づけるとても大切な指標になります。しかし、入社前の段階で把握していた給与額より低い額が手元に入ったとなれば、大変なショックを受けます。そんな状況にならないためにも、給与の仕組みや知識を深めることは転職の際などに気持ちよく仕事をスタートする上でとても役立つはずです。 給料の手取り額とは 給与支給日に、実際に指定の銀行口座などに振り込まれるお金を日本では「手取り額」と言います。これは、会社から支払われる給与の総額から社会保険料や税金を引いた金額になります。その詳細を知らない人たちは「思っていたより少ない…」と感じてしまうのです。 「手取り」とはどういうことを指すのか 手元に入る実収入=「手取り」となるわけですが、お給料には様々な内訳が存在します。時給・日給・月給などの基本給や残業代・各種手当など、会社から支給される「額面」から、各種保険料や年金などの社会保険料と所得税や住民税といった税金を「控除」として引いた金額のことを指します。 「額面」と「控除」について 手取り金額を知る上で重要になるのが「額面(総支給額)」と「控除」になります。この額面と控除についての知識を得ることで、自分の収入がどのような仕組みで決まっているのかという理解力を高めることができます。詳しくは下記の通りです。 「額面」とは会社から支払われる総支給額 額面の内訳には様々なものがあります。これは企業によって違いがあるため注意が必要です。 (1)基本給 時給・日給・月給など、支払額が決められた基本となる金額のことです。この基本給には、残業代や各種手当、歩合給などのインセンティブは含まれていません。 (2)時間外労働手当 企業ごとに決められている勤務時間(労働時間)を超えた分、または1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えた分を支給(時間給から25%以上割増)する手当、つまり残業代のことです。 (3)超過勤務手当 法廷労働時間を超える残業の中でも22時以降の深夜残業(時間給から25%以上割増)や、休日労働(時間給から35%以上割増)などをして働いた場合に支払われる手当。 (4)資格手当 専門職をはじめ、企業が定めた業務上必要になる資格を保有している方に支払われる手当。国家資格など取得難易度の高さに応じて金額が変わるケースもあります。 (5)役職手当 一般的には、キャリアアップなどで管理職などの役職に就いている方に支給されます。係長・課長・部長などの役職に応じて金額が変わるケースが大半です。 (6)通勤手当 電車・バスなどの交通機関を使用して通勤する方に、全額または一定額の交通費を補助する手当。車通勤が可能な企業ではガソリン代を支給することもあります。 これらの他にも、扶養家族がいる社員を対象に生活補助として一定額支給される家族手当や、家賃・住宅ローンなどの住宅費を補助する住宅手当、出張がある企業は出張手当など、独自の手当も多数あります。 「控除」とは給料から天引きされる総額 保険料や年金などの社会保険の半額と、住民税や所得税から算出されます。所得税を除いては、金額が決定してからの1年間は金額が変動しません。 (1)健康保険 病気やケガをした場合に、3割負担で医療機関を受診できる国の医療保険です。保険料の負担は勤務先と半額ずつになります。また、加入している健康保険組合によって保険料率が異なります。 (2)雇用保険 様々な給付制度がある中でも、失業した際に失業給付などが受けられる保険として広く認知されています。企業の事業内容により保険料率が異なります。 (3)介護保険 対象年齢である40歳以上になると加入義務が発生する保険で、介護を必要とする際に1~2割の負担で福祉サービスを受けることができます。 (4)厚生年金 加入者本人と勤務先とが半額ずつ負担し、年金の支給を受けるための掛け金を払う制度です。 (5)所得税 個人が1年間に得た所得に対して課税される税金のことで、年収によって税率が変動します。企業に勤めている場合は「源泉徴収」で天引きされ、「年末調整又は確定申告」で精算されます。 (6)住民税 働く人の居住地となる都道府県や市町村に納める税金のことです。前年度の年収により金額が決定されます。 その他にも、労働組合費や退職積立金、社宅などの家賃を引かれるケースがあります。 実際に給与明細を見てみよう 手取り額を確認する上で、実際の給与明細を見ることが最も分かりやすいです。企業によって明細書の仕様や項目名は異なる場合がありますが、一般的には「差引支給額」の項目に記載されている金額が「手取り額」になります。 手取りの目安とは 「額面」と「控除」について詳しくお伝えしてきましたが、入社前の情報として求人票などに記載されている給与が分かれば、ある程度の手取り額を把握することができます。ここからは、その目安となる金額の出し方について説明していきます。 額面の何%が手取りでもらえるのか おおよその目安としては、額面の約80%(75~85%)が手元に入る「手取り額」となります。ただし、人によって同じ額面でも手取りの割合は変動します。例えば、前年度の年収や扶養家族の人数により「控除」の対象となる金額が違うためです。また、額面が高くなると所得税率も上がり、だいたい60万円を超えると手取り額の割合は75%を下回ることになります。 独身と扶養家族がいて扶養控除を受けた場合の手取り例 独身者のケースでは、額面で月給25万円の場合、約80%の19万7690円が手取り額となります。扶養家族が2人いる既婚者のケースでは、所得税・住民税で優遇される「扶養控除」を受けられるので、額面で月給25万円の場合は、独身者(扶養0人)に比べて約9000円多い20万6430円が手取り額となります。 手取りの計算方法とは 先ほどもお伝えした通り、額面の約80%が手取りとなります。つまり、計算方法としては額面に0.8を掛けることでおおよその手取り額が算出できます。※所得税や扶養家族の有無などによって変わる控除合計と連動して手取り額も変わるので注意が必要です。 給料の正確な手取りの計算方法 額面(総支給額)と控除の内訳がわかれば、正確な手取り額は簡単に導き出せます。計算方法は「基本給+固定手当+変動手当(ボーナス以外)」-「社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険)」-「税金(所得税、住民税)」で算出することができます。 ボーナス(賞与)からおおよその手取り額を導き出す方法 企業によっては年2回や1回のボーナスを支給する場合があります。そのボーナスに関しては、額面の約82%でおおよその手取り額を計算することができます。例えば、基本給(月給)22万円の独身者が3ヶ月分の66万円を賞与としてもらう場合、手取り額は約54万円となります。こちらも控除合計によって手取りの割合は変わるので、ご自身のケースに当てはめてみてください。 転職活動時の注意点 転職活動中は、さまざまな求人情報を目にすることになると思います。その際も、手取り額に注意を払うことがとても大切です。間違った理解をしたままだと前職よりも収入が下がってしまう可能性もあるので、事前情報などの確認を怠らず、希望に合った企業を見定める知識を深めていきましょう。 求人情報の給料は手取り額ではない 日本の求人情報誌や求人サイトに記載されている給与のほとんどが「額面」の金額です。つまり、給与として手元に入る「手取り額」は、そこに記載された金額よりもっと少なくなります。そのため、前職(転職活動時の現職)より良い給与の転職先を探している場合は、額面による比較を行うか、求人情報に記載された給与に0.8を掛けて、おおよその手取り額を算出してから検討するようにしましょう。 希望給料額は手取りではなく額面を伝えよう 求人情報の中には「月給〇〇万円以上」や「月給〇〇~〇〇万円」のように、求職者の経験や能力によって給与が変わるケースもあります。面接で希望の給与額を聞かれた際は、必ず「額面」を伝えるようにしましょう。手取り額を伝えてしまうと、採用担当者はそれを額面だと認識してしまい、希望より低い収入となってしまいます。入社してから「こんなはずではなかった…」とならないように、額面での希望給与額を確認しておきましょう。 まとめ 転職先として良い企業や仕事に出会えたとしても、給与が想定していた額より少なくなってしまっては、生活を潤すことができません。そうならないためにも、手元に入るお金である「手取り額」を把握しておくことがとても大切です。採用情報などに記載されている額面に左右されることなく、この機会に正しい給与を見極める知識を身につけ、今後の転職活動に役立ててください。