社会保険・福利厚生

社会保険・福利厚生

外国人に医療保険(健康保険)は必要?手続きや保険料を紹介

留学、ワーキングホリデー、就職など長期間日本に滞在するのは楽しみと同時に病気やケガなども不安になるのではないでしょうか。 今回の記事では、これから長期で日本に滞在する予定の外国人向けに、日本の医療保険の加入条件や医療保険の種類、料金や手続きなどついてご説明をしたいと思います。 国の医療保険の加入は絶対必要? 国の医療保険に加入している場合、病院へ支払う医療費の自己負担額は6歳から70歳までの人は基本的に3割となっております。つまり、実質1万円の医療費を3千円で済ますことが可能になります。このようなメリットがあるのは日本の医療保険です。 海外では一般的に医療保険の加入は個人の判断によりますが、日本では国民全員(国籍問わず)がなんらかの医療保険に加入をしなければなりません。つまり、観光目的などの短期滞在以外において、長期的に日本に滞在する外国人は必ず医療保険に加入する必要があります。 日本にはどんな医療保険があるの? 日本には一般的に2種類の医療保険があります。日本で働く会社員が基本的に加入する健康保険(社会保険)と留学生やワーキングホリデーで来日される外国人が加入する国民健康保険の2つです。 これからは、この2種類の医療保険について簡単に説明をしていきたいと思います。 働く人が入る健康保険(社会保険)とは? 社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険の5つで構成されており、この社会保険の中に健康保険が含まれています。 日本で正社員、契約社員、または、パート社員で「所定労働時間が週20時間」「月額賃金8.8万円以上」「勤務期間1年以上」の一定条件を満たす従業員は社会保険の加入対象となります。企業が一定の条件を満たす従業員を雇う場合は、必ず社会保険に加入させる義務があります。 社会保険の保険料はいくらのなか? 社会保険料は、加入者が住んでいる地域や収入、どこの健康組合に所属しているかによって金額が変わってきます。そのため、東京で働いている人と大阪で働いている人では支払う保険料が異なってきます。 そして、社会保険料の支払いは、通常の場合は会社が毎月の社会保険料を差し引いて従業員へ給料を支払うため、従業員側が支払いの手続きをすることはなく、会社側が支払いの手続きを行うことになります。 中小企業に務める従業員や家族が加入する「協会けんぽ」の場合、2020年4月からの東京都の健康保険料率は、毎月の給料に対して9.87%の金額を健康保険料として毎月支払うことになります。 ただし、全額を個人で負担するのではなく、会社と個人で半分ずつ支払うことになります。そのため、毎月の給料に対する9.87%の半額が健康保険料として給与から差し引かれることになります。 また、社会保険においては、この健康保険料以外にも、厚生年金保険料などもあり、それらは一般的に毎月の給料から差し引かれることになります。 ※以下のリンクは健康保険に関する情報です。 健康組合とは何か? 令和2年4月以降の健康保険・厚生年金保険料額表/協会けんぽ 国民健康保険とは? 地方自治体が運営している健康保険で、住民基本台帳に記載があり、会社の健康保険に入っていない人が加入する医療保険です。観光目的以外で日本の滞在期間が3ヶ月以上である場合は加入する義務があります。例えば、勉学のために日本に留学している外国人の学生やワーキングホリデーで来日している外国人は国民健康保険に加入しなければなりません。 英語、スペイン語、中国語など多言語で国民健康保険についての説明が記載されているリンクもありますので、国民健康保険についてもっと知りたい方は、是非ご参考にしてみてください。(国民健康保険について/多言語) 国民健康保険の保険料はいくらのなか? 住んでいる市町村、所得などによって保険料は大きく異なります。以下のサイトでは国民健康保険料の目安がシミュレーションができます。ただし、市区町村によって保険料は異なりますので、あくまで目安として使ってみてください。 国民健康保険料シミュレーション 医療保険に加入するための手続きや必要期間 働く人が加入する健康保険(社会保険)の手続き 健康保険(社会保険)は、日本で働くことを目的として来日した外国人が企業へ入社するときに加入できる医療保険です。そのため、加入する条件としては第一に就労可能なビザを持っていることが必要です。 社会保険(健康保険)は外国人自身が手続きを行うのではなく、入社した企業と共に手続きを行うことになります。企業側準備した書類に対して個人情報の記入を行い、有効期限の在留カード、パスポート、マイナンバーカードなどの必要書類を付けて企業側から加入予定の健康保険組合に提出することになります。 健康保険(社会保険)が使えるようになるまでの期間 「協会けんぽ」を例に挙げますと、企業側が書類を提出した日から、大体7〜10日程度で保険証が届くようです。ただし4月など入退社の多い繁忙期は届くのが遅くなる傾向にあります。あくまで例になるので、加入する健康保険組合によって期間は異なります。 国民健康保険の手続き 国民健康保険に加入するときは、入国日、引っ越しをした日、または、社会保険の健康保険の加入者である資格を失った日(退職した日など)から14日以内に手続きを行う必要があります。もし会社を退職した場合でも、次の転職先に入社するのが14日以内であれば、入社した会社で健康保険(社会保険)の手続きをすれば国民健康保険への手続きは必要ありません。 日本では健康保険に加入することが義務となっているため、手続きの遅れが発生した場合は、遅れた分を後日請求されますので注意しましょう。万が一、保険に加入してない期間、病院などへ行った場合の診察料などは100%自己負担になります。 以下に国民健康保険に加入するために必要なものを紹介したいと思います。 留学の場合 パスポート 在留カード 学生証 ワーキングホリデーの場合 在留カード パスポート 健康保険(社会保険)への加入資格を失ったとき(退職した時) 在留カード又は特別永住者証明書 社会保険(健康保険)資格喪失証明書、離職票、退職証明書、源泉徴収票(退職日の記入のあるもの)などのうちいずれかひとつ 国民健康保険が使えるようになるまでの期間 健康保険(社会保険)とは異なり、国民健康保険は市役所などで加入者自身が手続きを行います。手続きをしたその当日に保険証が発行され、その日から病院などで利用できます。 まとめ 日本では「少し熱っぽい」、「気分が悪い」、などの軽い症状でも全国民が気軽に病院に行ってもらうために医療保険への加入を義務付けしています。その分、個人が実際に病院で支払いをする金額は3割程度になります。 また、高額療養費制度という制度もあり、収入に応じて毎月の医療費の自己負担額に上限が定められており、対象となる手術や入院をして医療費が高額になった場合においても、自己負担の上限を超えた医療費は払い戻しを受けることができます。 今回は以上になります。

社会保険・福利厚生

日本の一般的な福利厚生を簡単にわかりやすく解説!

海外と比べて日本企業は給与以外の福利厚生が充実していると言われています。この記事では、これから日本企業で働きたいと思っている留学生など外国人の方向けに、日本企業が社員に提供する一般的な福利厚生の種類についてご説明をしていきたいと思います。 ※この記事を英語でご覧になりたい方は、こちら(English Here!)になります。 福利厚生とは そもそも福利厚生とは、従業員やその家族に対して健康面や生活面でのサポートを目的とする様々な取り組みを意味します。そして、日本の福利厚生には、法律上で企業側が雇用契約を結んでいるモノに対して提供をしなければならない法定福利厚生と、企業側が自主的に(法律とは無関係)従業員に提供しているものの2種類が存在します。 福利厚生の種類 法定福利厚生 以下には、各種類の法定福利厚生について簡潔にご説明をしていきたいと思います。。 労災保険 労災保険は、仕事や通勤中などに起きた事故を原因に労働者が怪我や病気になった場合に保障してくれ保険です。 子供・子育て拠出金(旧名:児童手当拠出金) 企業側が政府に法律上で定まった金額を支払うことによって、児童がいる家庭に給付される拠出金です。 雇用保険 雇用保険は、労働者が失業をした場合に国から支払われる手当などのことです。例えば、会社の業績が悪く、会社の都合で解雇をされた場合、国へ申請をすれば、90日〜150日の期間に前職の給料の50~80%程度を失業手当として受け取ることができます。 健康保険 健康保険は、病気や怪我、出産や死亡といった事態に備えるための医療保障制度です。例えば、病院に行って治療を受けた場合、ケースによりますが、保険証を提示すれば自己負担は3割程度で済み、残りは国が負担をしてくれます。 介護保険 介護保険は、介護が必要と認定された場合に、介護に必要な費用の一部を国が給付する保険制度です。 厚生年金保険 厚生年金保険は、国民年金に加えて給付される年金制度です。 これらの法定福利厚生は、企業が従業員を雇用する際に法律上で義務付けられています。そして、企業と社員が負担する割合は法律によって決められており、社員が負担する分は会社が毎月の給料から差し引き、会社が国に納めることになっています。 日本で一般的な福利厚生 海外では会社に出勤する際にかかる交通費は基本的に自己負担になるケースが多いですが、日本では企業が通勤にかかる交通費を負担するケースが一般的です。このように、日本と海外では企業が設けている福利厚生は異なります。これからは、法定福利厚生以外に、日本の企業が社員に提供している一般的な福利厚生をご紹介していきたいと思います。 通勤手当 勤め先に通うためにかかる費用を会社が負担する福利厚生です。全額を支給する企業もあれば定まった金額のみを支給する企業も存在します。日本ではほとんどの企業は社員に通勤手当を支給しています。 健康診断の受診 日本の労働衛生安全法では、企業は従業員に対して健康管理を行う義務を追っています。健康診断は、この健康管理義務を行いための福利厚生として認められており、ほとんどの日本企業は社員に対して年1回の健康診断を福利厚生として提供しています。 外国人の方が日本で受けられる健康診断の種類、その内容や所要時間などについては、下の記事に詳しく書いておりますので、気になる方は是非読んでみて下さい。 外国人が日本企業で受けられる健康診断の内容とは? 住宅手当 月々支払われる給与と一緒に家賃の一部が支払われる制度です。企業によって支給する金額を異なります。この手当は転勤などをよく伴う職業に導入されているケースが多いです。全国転勤が必要とされる大手の金融業や製造業に良く見られる制度です。 社員持ち株制度 株の購入意思がある従業員の給与から天引きをし、自社またはその親会社の株の購入ができ、その利益を給与とはまた別でもらえる制度です。上場している企業や大手企業に良く見られる制度になります。 退職金制度 会社側が資金を準備し、従業員が退職をする時に支払われるお金になります。退職金の目的は、日本企業が長年働く従業員に対して、老後の生活資金として提供しているものです。しかし、最近では定年(60歳)まで一つの会社で働くケースも少なくなっており、また退職金の資金を運用がうまく行かず、会社側の負担が大きくなってきているため、退職金制度を用意している企業は減っています。その代わり、老後のために個人で資金を準備して運用を行う確定拠出年金に対して、企業が資金を毎月提供する事で、退職金の代わりの役目を果たすケースが増えています。 慶弔休暇 慶弔休暇は、自分自身や近い親戚で結婚や出産などの慶事や近親者の弔事(葬式)の際に取得できる休暇のことです。 出産休暇 出産休暇は、出産する前の準備期間と出産後の回復期間を合わせた休暇制度です。企業によりますが、出産前の準備期間は6週間前から休暇が取得可能です。もう一方では回復期間は法律上で8週を取得することが決められています。 育児休暇 育児休暇は、従業員の子供が1歳になるまで、仕事を休むことができ、育児に専念できることをサポートする休暇制度になります。 在宅制度 オフィスに出社する必要がなく、自宅から業務に携わることを許可する制度です。この制度は、webデザイナー、システムエンジニアなどのIT関連やインサイドセールス、カスタマーサポートなどのセールス関連の職種によく見られるものです。 好きなPCを選べる制度 企業側が用意したパソコンの種類の中から自由に好きなものを選べる制度です。システムエンジニアのどのIT業界の技術職に最近よく見られるようになった福利厚生です。 まとめ ご紹介した福利厚生以外にも、企業によって様々な福利厚生が用意されています。日本の福利厚生は世界的に見ても充実をしており、日本で社員として働くメリットの一つと言えるでしょう。 もし、日本でIT関係へ就職・転職を検討されている外国人の方がいらっしゃいましたら、外国人ITエンジニア専門の人材紹介会G Talent(ジータレント)にご登録ください。プロのコンサルタントが無料で転職活動をサポートいたします。

社会保険・福利厚生

外国人が日本企業で受けられる健康診断とは?

日本特有の福利厚生とも言われている「健康診断」。外国人ITエンジニアからすると、どんな検査を行うか不安になるはずです。そこで、健康診断の内容を詳しく解説し、日本の素晴らしい福利厚生(健康診断)をご紹介していきます。 すべての外国人労働者に関わる日本の健康診断事情 年々、深刻な人手不足が進行している日本。外国人労働者の受け入れを積極的に行う企業も増えています。外国人労働者を採用する際には、継続的な就労が可能であることを証明するために、健康診断の実施と健康診断書の提出が必要とされています。これは、日本の安全衛生法が適用されるためであり、企業側が労働者の健康を確保するという責任のもと実施しています。そのため、外国人労働者の方たちは母国と日本の文化や法律の違いを把握し、健康診断に対する知識を高める必要があります。 会社が健康診断を行う目的と義務 日本企業では当たり前のように実施されている健康診断。日本人でも外国人でも関係なくすべての従業員が診断を受ける必要がある目的や義務についてご説明します。 健康診断を行う目的 企業が従業員に対して健康診断を行う目的は、生活習慣病などの病気を早期に発見して治療することや、病気を未然に予防するため。また、健康診断を定期的に実施することにより、日常生活の中で自覚していない症状や、今後発症するリスクのある病気を発見できる可能性があります。企業が健全な経営を行うためにも、従業員の健康維持は最重要テーマのひとつといえるでしょう。 健康診断を行う義務 労働安全衛生法により、企業は健康診断を実施する義務があります。人材を雇用して利益を上げているため、従業員の健康や身体の安全を管理する「使用者責任」のもと、労働環境に配慮しなければなりません。近年、働き方改革により過度な残業などは減少していますが、健康を損なうような過酷な業務や長時間労働をさせた結果、従業員が病気や事故に陥ってしまうと、企業側は安全配慮義務を怠ったとして責任を負うことになる。つまり、従業員の健康を守ることが、企業を守ることに繋がるのです。 会社が実施する健康診断の内容 労働安全衛生法第66条に基づき、事業者(企業)は従業員に対して定められた健康診断を実施する義務がありますが、具体的にどのような診断内容があるのでしょうか。ここからは、健康診断の種類や費用などについて解説していきます。 健康診断の種類 健康診断には大きく分けて「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。 ・一般健康診断 常時使用する労働者を対象にした、すべての企業と職種に実施が義務付けられている健康診断。雇入れ時健康診断や毎年1回行う定期健康診断をはじめ、6カ月以上の海外派遣労働者が対象となる健康診断、給食従業員の検便などがあります。 ・特殊健康診断 労働安全衛生法で定められている有害業務に従事する労働者を対象にした健康診断。対象となるのは、「高気圧業務」「放射線業務」「特定化学物質業務」「石綿業務」「鉛業務」「四アルキル鉛業務」「有機溶剤業務」の7つの業務になります。 健康診断の費用負担は誰? 厚生労働省の通達によれば、健康診断の費用は法律で事業者に実施の義務を課している以上、事業者が負担すべきものであるとされています。そのため、日本企業では会社負担で健康診断を受診することが一般的であり、健康診断を受けるためにかかった交通費も含まれます。そのため、診断に関わる従業員の費用負担はありません。 健康診断の時間の目安 病院までの移動時間や待ち時間、検査時間をすべて含めた場合、企業・病院ごとによって健康診断の所要時間は異なります。それらを踏まえた上で、平均的な目安としては最大で半日、診断がスムーズにいけば1時間程度。ただし、病院の混雑状況や女性の場合や検査項目の数によって、診断時間が長引くケースがあるので、余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。 「雇入れ時健康診断」の詳細 雇入れ時健康診断とは、企業に入社する際に実施される健康診断のこと。労働安全衛生規則第43条の「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない。」という内容に基づき、企業側の義務として定められています。外国人の技能実習生の場合は、配属される前後3ヶ月以内に健康診断の実施が必要であり、母国で健康診断を行っていたとしても日本国内の医療機関で実施しなければなりません。本来は企業への配属後に健康診断が実施されますが、配属前であっても研修センターなどで健康診断を実施することが可能です。 「定期健康診断」の詳細 定期健康診断とは、企業側が1年以内に1回の頻度で定期的に実施する健康診断のこと。対象となるのは、正社員をはじめアルバイトやパートなどを含む1年以上継続勤務している方、または継続勤務が見込まれる方となります。さらに、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上の方も対象となります。外国人の技能実習生の場合は、雇入れ時健康診断が実施されてから1年以内に再度健康診断の実施が必要とされているので注意が必要。定期健康診断は、労働者側にも受診する義務があるため、受診を拒否すると就業規則などの定めにより懲戒処分の対象になります。 最低限実施が必要な検査11項目 「雇入れ時健康診断」と「定期健康診断」は、共に最低限実施しなければならない検査項目があります。その労働安全衛生規則(43条)で定められた11項目は次の通りです。 ・既往歴及び業務歴の調査 ・自覚症状及び他覚症状の有無の検査 ・身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査 ・胸部エックス線検査 ・血圧測定 ・貧血検査(血色素量及び赤血球数) ・肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP) ・血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド) ・血糖検査 ・尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査) ・心電図検査 転職しても健康的に働こう 母国から離れ、ただでさえ異文化ストレスを感じやすい外国人労働者にとって、健康維持はとても重要です。これまで培ってきた知識やスキルをフルに発揮するためにも、日本企業が必ず実施する健康診断をセルフメディケーションの一環と捉えて、転職後の健康的なワークスタイルを築いていきましょう。 新入社員の健康管理も大切にする日本だから転職も安心 働き方改革の推進により、今まで以上に従業員の労働環境が改善されつつある日本。その中で、法律により定められた健康診断の実施は、従業員の健康管理を重要視する企業を育むことにも繋がっています。また、先進国の中でも日本は医療技術が進んでおり、健康診断を受診することによって病気の早期発見や生活習慣に関する指導を受けられます。企業負担で実施される定期的な健康診断をしっかりと受診することは、病気で働けなくなるリスクを軽減すると共に「安心」を得ることができるのです。 まとめ 国籍問わず、従業員が健康であり続けるために企業側が実施する健康診断。海外では日本のような法律がなく、任意や自己負担で検診を行っている国もあるため、日本の保険制度は充実しているといえます。ダイバーシティにより、労働者を取り巻く環境が今後も大きく変化していく中で、ストレスによる病気や脳・心臓疾患などのリスクが増える可能性は大いにあります。日本企業での就職を考えている外国の方たちにおいても、定期的に企業が実施する日本の健康診断は、自身の健康状態を把握しながら本来の能力を発揮し続けるために役立つことでしょう。

社会保険・福利厚生

日本で働く・転職する外国人のための社会保険制度を解説!

日本で働く外国人は、日本の「社会保険制度」に加入することになります。ルールに従って保険料を納めていないと、病気になったときの治療費が高額になるなど、不利益を被るおそれがあります。また、すでに日本で働いている外国人が国内で転職する場合も注意が必要。決められた期間内に手続きをしないと、やはり不利益を受けたり損をしたりするリスクがあります。 今回は、日本での就業を考えている外国人の方や、日本国内で転職を考えている外国人のために、日本の社会保険制度について解説していきます。 外国人は日本の社会保険に加入しなければいけない? 原則として、日本では国籍を問わず外国人も社会保険に加入しなければいけません。日本の社会保険は、「年金保険」「医療保険(健康保険)」「労災保険」「雇用保険」「介護保険」の5つがあります。 年金保険 年金保険とは、働いている世代が支払う保険料が65歳以上の高齢者に給付される仕組みのことです。日本の年金保険は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。国民年金は、日本に住むすべての20歳以上60歳未満の人は加入が義務付けられており、外国人も例外ではありません。厚生年金は、会社員や公務員が国民年金にプラスして加入する年金のことで、こちらも外国人にも加入義務があります。なお、厚生年金の保険料は毎月の給料から天引きされますが、会社が半分を負担してくれます。 とはいえ、外国人労働者からすると、「母国でも年金に加入しているから、日本でも加入すると保険料の負担が大きい・・・」「将来、母国に帰るから保険料が掛け捨てになる・・・」といった不安があると思います。このような外国人の懸念事項を解消するために設けられているのが「社会保障協定」と「脱退一時金」の制度です。 社会保障協定とは? 母国で年金に加入している外国人にとっては、日本でも年金に加入することで保険料を二重払いすることになります。また、日本で年金を受給するには、一定期間、年金に加入していなければいけないので、保険料が掛け捨てになってしまうおそれがあります。 このような不利益を避けるために設けられているのが「社会保障協定」です。社会保障協定は、日本と社会保障協定を締結している国から来た外国人は、日本で働く期間に応じて日本か母国いずれか一方の年金に加入すればいいとする制度です。 >> 社会保障協定の詳細はこちら 脱退一時金とは? 脱退一時金とは、日本の厚生年金・国民年金に加入した外国人が年金を受け取る前に帰国した場合に、一定額のお金を受け取ることができる制度です。 >> 脱退一時金の詳細はこちら 医療保険(健康保険) 医療保険(健康保険)とは、社会全体で医療費の負担を支え合う制度です。医療保険に加入していることで、病気になったりケガをしたりして医療機関を受診したときに医療費の負担が軽減されたり、入院や手術で高額な医療費がかかるときの負担を軽減できたりします。 「健康保険」と言ったら、一般的に会社員が加入する健康保険のことを指し、外国人労働者も日本人労働者と同様に加入義務があります。保険料は毎月の給料から天引きされますが、半分は会社が負担してくれます。 一方で、自営業者や専業主婦など会社員でない人が加入するのが「国民健康保険」です。外国人も、3ヶ月以上日本に滞在する場合は国民健康保険に加入する必要があります。なお、保険料は全額負担で、金額は住んでいる自治体によって変わってきます。 労災保険 労災保険とは、会社の従業員が仕事中や通勤中に、事故や災害などでケガをしたり病気になったり、身体に障害が残ったり死亡したりした場合に保険金が給付される制度です。 外国人労働者も日本人労働者と同様に労災保険に加入する必要があります。なお、労災保険の保険料は会社が全額を負担するため、従業員の負担はありません。 雇用保険 雇用保険とは、従業員が失業した場合などに従業員の生活の安定を図るとともに、再就職を促進するために必要な給付をする制度。いわゆる「失業手当」は雇用保険による給付です。 「31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者」「1週間の所定労働時間が20時間以上である」という条件を満たしていれば、外国人労働者も日本人労働者と同様に雇用保険に加入する必要があります。なお、雇用保険の保険料は毎月の給料から天引きされますが、会社が一部を負担してくれます。 介護保険 介護保険とは、介護を必要とする高齢者を社会全体で支える制度です。40歳以上65歳未満で医療保険に加入している人や65歳以上の人は加入する義務があり、外国人も例外ではありません。 介護保険の保険料は40歳になった月から支払う必要があり、医療保険(健康保険)の保険料と一緒に徴収されます。会社員の場合は、毎月の給料から天引きされますが、半分は会社が負担してくれます。会社員でない人は、国民健康保険料と合わせて住んでいる自治体に納める必要があります。 転職する際の社会保険の手続き すでに日本で働いている外国人の方が日本国内で転職するときは、社会保険に関する手続きが必要になります。 離職期間がなく、すぐに新たな転職先に勤務する場合は、ほとんどの手続きを転職先がおこなってくれます。一方で、離職期間が生じる場合は、自分でおこなわなければいけない手続きがあるので注意が必要です。 年金保険に必要な手続き すぐに転職する場合は、転職先に年金手帳を提出するだけでOK。担当者が手続きをしてくれます。 離職期間が生じる場合は、厚生年金から国民年金に切り替える手続きが必要になります。退職の翌日から14日以内に、住んでいる自治体の窓口(市区町村役場)で手続きをおこないましょう。 医療保険(健康保険)に必要な手続き すぐに転職する場合は、転職先で健康保険に加入することになりますが、手続きは転職先の担当者がおこなってくれます。 離職期間が生じる場合は、「任意継続」か「国民健康保険への加入」かのいずれかです。原則として、会社を辞めればその会社で加入していた健康保険の被保険者資格を喪失しますが、一定の条件を満たしていれば、会社を辞めた後の2年間、同じ健康保険に加入し続けることができます(任意継続)。任意継続の手続きは、退職日の翌日から20日以内に、加入していた健康保険組合の窓口に必要書類を提出しておこないます。 任意継続をしない場合は、国民健康保険に加入することになります。国民健康保険への加入手続きは、退職の翌日から14日以内に住んでいる自治体の窓口(市区町村役場)でおこないましょう。 労災保険に必要な手続き すぐに転職する場合は、転職先で労災保険に加入することになりますが、手続きは転職先の担当者がおこなってくれます。また、離職期間が生じる場合も離職期間中は労災保険に未加入となるだけなので、特に自分で手続きをおこなう必要はありません。 雇用保険に必要な手続き すぐに転職する場合は、辞めた会社から受け取った雇用保険被保険者証と離職票を転職先に提出するだけでOK。担当者が手続きをしてくれます。 離職期間が生じる場合は、いわゆる「失業手当」を受給できる可能性があります。その場合は、住んでいる自治体を管轄するハローワークに問い合わせて手続きをするようにしましょう。 介護保険に必要な手続き 介護保険は医療保険(健康保険)と一体になっているため、医療保険(健康保険)に必要な手続きをおこなえばOKです。 まとめ 外国人労働者にも日本の社会保険が適用になるため、日本人労働者と同じように社会保険のメリットを享受することができます。もちろんそのためには、保険料の納付が必要です。日本で安心して働くため、基本的な社会保険の仕組みを理解したうえで、きちんと保険料を納めるようにしましょう。 また、すでに日本で働いている外国人労働者が会社を辞めて離職期間が生じる場合は、自分でおこなうべき手続きがあります。医療保険(健康保険)や雇用保険(失業手当)は、離職期間中の生活に大きな影響を与えるものなので、不利益を被らないよう忘れずに手続きをするようにしましょう。

社会保険・福利厚生

外国人も厚生年金に加入するの?日本の年金制度を知ろう!

「外国人も日本の年金に加入しなければいけないの?」 日本で働く外国人は、このような疑問を持つ方が少なくありません。結論から言うと、日本に住むすべての外国人(20歳以上60歳未満)に年金制度への加入が義務付けられています。そのため、保険料の未払いなどがあると将来、問題が生じたり損をしたりするリスクがあります。 本記事では、日本の年金制度の概要を解説していきますので、日本で働く外国人の方はぜひお役立てください。 日本の年金制度について 「年金」と言うと、「自分が支払った保険料が将来、自分に戻ってくる制度」と考えている方が多いと思いますが、厳密に言うとこれは間違いです。日本の年金制度は、働いている世代が支払う保険料が現在の高齢者に給付される仕組みです。つまり、世代間の支え合いによって成り立っていると言えます。 そして、日本に住むすべての20歳以上60歳未満の人は、年金制度への加入が義務付けられています。 日本の年金の種類 日本の年金は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。 国民年金 国民年金は、日本に住んでいるすべての20歳以上60歳未満の人が加入する年金です。国民年金の被保険者は以下の3タイプに分かれますが、すべて外国人も対象になります。 ・第1号被保険者:自営業者や学生、無職の人など ・第2号被保険者:会社員、公務員など ・第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者など 厚生年金 厚生年金は、国民年金の第2号被保険者が、国民年金にプラスして加入する年金です。日本の会社(※ 強制適用事業所)で働く外国人は、「国民年金の保険料+厚生年金の保険料」を支払う必要があるということです。なお、厚生年金の保険料は会社が半分を負担してくれます。 ※ 強制適用事業所:法律によって厚生年金・健康保険への加入が義務付けられている事業所のこと。株式会社などの法人や従業員が5人以上の個人経営の事業所は、強制適用事業所に該当する。 もらえる年金の種類 日本の年金制度の役割は、老後の備えだけではありません。老後になったら年金が給付されるほか、加入者が障害者となった場合にも年金が給付されますし、加入者が亡くなった場合にも遺族に年金が給付されます。つまり、障害保険や死亡保険としての機能もあるということです。条件を満たしたときにもらえる年金は以下の3種類です。 老齢年金 65歳以上になったら、毎月一定額が給付されます。ただし、保険料を10年(120ヶ月)以上支払っている必要があります。 障害年金 加入者が障害認定基準を上回る障害状態になった場合に、一定額が給付されます。 遺族年金 加入者が亡くなった場合に、子どもや配偶者などの遺族に一定額が給付されます。 外国人も厚生年金・国民年金に加入する義務がある! 上述のとおり、日本に住所を有するすべての20歳以上60歳未満の人に年金制度への加入が義務付けられています。これは、国籍に関係なく外国人であっても同様です。 日本に住む外国人が会社(強制適用事業所)で働く場合、国民年金に加えて厚生年金にも加入する必要があります。この場合、保険料は給料から天引きされるため、未加入や未払いの外国人は少ないようです。 一方で、日本に住む外国人が強制適用事業所以外の事業所で働く場合などは、国民年金のみに加入します。国民年金は、自分で加入手続きをして自分で月々の保険料を支払わなければいけないので、うっかり未加入・未払いにならないよう注意が必要です。 外国人の不利益を避けるための「社会保障協定」と「脱退一時金」 「日本の年金に加入しても、将来、母国に帰ったら年金をもらえないのでは・・・」 「母国で年金に加入しているから、日本でも加入したら保険料の負担が大きい・・・」 日本の年金制度に加入するにあたり、外国人がこのような不安を覚えるのは当然のことでしょう。年金の受給や保険料について、外国人の不利益を避けるために設けられているのが「社会保障協定」と「脱退一時金」の制度です。 社会保障協定とは? 母国で年金に加入している外国人にとっては、日本でも年金に加入することで保険料を二重払いすることになります。また、日本では老齢年金をもらうためには保険料を10年以上支払う必要があるため、たとえば7年で帰国する外国人は受給資格を得られず、7年分の保険料が掛け捨てになってしまいます。このような外国人の不利益を避けるために設けられているのが「社会保障協定」です。 社会保障協定は、日本と社会保障協定を締結している国から来た外国人は、日本で働く期間に応じて日本か母国いずれか一方の年金に加入すればいい、とする制度です。国によって差はありますが、基本的には以下の内容で社会保障協定が結ばれます。 保険料の二重負担防止 ・日本に在留する期間が5年未満なら、母国の年金に加入するだけでいい。 ・日本に在留する期間が5年以上なら、日本の年金に加入するだけでいい。 これらは、保険料の二重負担を防止するための規定です。 年金加入期間の通算 ・母国での年金加入期間を、日本での年金加入期間と通算できる。 ・日本での年金加入期間を、母国での年金加入期間と通算できる。 これらは、保険料が掛け捨てにならないよう、日本での年金加入期間と母国での年金加入期間を通算して、日本もしくは母国で年金を受給できるようにする規定です。たとえば、日本での年金加入期間が10年に満たなくても、母国での年金加入期間が通算して10年以上になれば、日本の老齢年金をもらえるということです。 当然ですが、社会保障協定の適用を受けるためには、外国人の母国が日本と社会保障協定を結んでいる必要があります。2019年7月時点において、日本は22ヶ国と協定を署名済で、うち19ヶ国は発効しています。各国との社会保障協定発効状況などは、以下をご確認ください。 >>社会保障協定|日本年金機構 脱退一時金とは? 社会保障協定とは別の観点で、年金に関する外国人の不利益を避けるために用意されている制度が「脱退一時金」です。 脱退一時金とは、日本の厚生年金・国民年金に加入した外国人が年金を受け取る前に帰国した場合に、一定額のお金を受け取ることができる制度です。社会保障協定国の出身でない外国人の方は、帰国する際に脱退一時金を受け取るかどうかを検討するのがいいでしょう。ただし通常は、脱退一時金としてもらえる金額は在留中に負担した保険料より少なくなります。 なお、社会保障協定国の外国人の方も、条件を満たせば脱退一時金をもらうことができます。ただし、脱退一時金を受け取ると日本の年金に加入していなかったことになり、その期間は年金加入期間の通算ができなくなるため注意が必要です。 脱退一時金をもらえる外国人の条件 脱退一時金は、厚生年金・国民年金の被保険者資格を喪失し、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求する必要があります。以下のすべての条件を満たすときに、脱退一時金を請求できます。 ・日本国籍を持っていないこと ・国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間の月数と保険料4分の1免除期間の月数の4分の3に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数、及び保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数とを合算した月数、又は厚生年金保険の被保険者期間の月数が6ヶ月以上あること ・日本に住所がないこと ・障害年金などの年金を受ける権利を持っていないこと たとえば厚生年金の場合であれば、加入期間が6ヶ月以上で、障害年金などを受ける権利のない外国人が帰国したら、加入期間などに応じた脱退一時金を請求できるということです。 脱退一時金を請求するには 脱退一時金を請求したいときは、必要書類を日本年金機構に提出します。脱退一時金の請求書や添付書類などは、以下をご確認ください。 >> 短期在留外国人の脱退一時金|日本年金機構 まとめ 日本の年金制度では、外国人の二重払い防止や保険料の掛け捨てを防ぐための制度が用意されています。日本で働く外国人の方は、社会保障協定や脱退一時金について十分に理解したうえで、保険料の支払いや将来の年金受給で損をしないようにしましょう。