外国人に医療保険(健康保険)は必要?手続きや保険料を紹介

留学、ワーキングホリデー、就職など長期間日本に滞在するのは楽しみと同時に病気やケガなども不安になるのではないでしょうか。

今回の記事では、これから長期で日本に滞在する予定の外国人向けに、日本の医療保険の加入条件や医療保険の種類、料金や手続きなどついてご説明をしたいと思います。

国の医療保険の加入は絶対必要?

国の医療保険に加入している場合、病院へ支払う医療費の自己負担額は6歳から70歳までの人は基本的に3割となっております。つまり、実質1万円の医療費を3千円で済ますことが可能になります。このようなメリットがあるのは日本の医療保険です。

海外では一般的に医療保険の加入は個人の判断によりますが、日本では国民全員(国籍問わず)がなんらかの医療保険に加入をしなければなりません。つまり、観光目的などの短期滞在以外において、長期的に日本に滞在する外国人は必ず医療保険に加入する必要があります。

日本にはどんな医療保険があるの?

日本には一般的に2種類の医療保険があります。日本で働く会社員が基本的に加入する健康保険(社会保険)留学生やワーキングホリデーで来日される外国人が加入する国民健康保険の2つです。

これからは、この2種類の医療保険について簡単に説明をしていきたいと思います。

働く人が入る健康保険(社会保険)とは?

社会保険とは、健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険の5つで構成されており、この社会保険の中に健康保険が含まれています。

日本で正社員、契約社員、または、パート社員で「所定労働時間が週20時間」「月額賃金8.8万円以上」「勤務期間1年以上」の一定条件を満たす従業員は社会保険の加入対象となります。企業が一定の条件を満たす従業員を雇う場合は、必ず社会保険に加入させる義務があります。

社会保険の保険料はいくらのなか?

社会保険料は、加入者が住んでいる地域や収入、どこの健康組合に所属しているかによって金額が変わってきます。そのため、東京で働いている人と大阪で働いている人では支払う保険料が異なってきます。

そして、社会保険料の支払いは、通常の場合は会社が毎月の社会保険料を差し引いて従業員へ給料を支払うため、従業員側が支払いの手続きをすることはなく、会社側が支払いの手続きを行うことになります。

中小企業に務める従業員や家族が加入する「協会けんぽ」の場合、2020年4月からの東京都の健康保険料率は、毎月の給料に対して9.87%の金額を健康保険料として毎月支払うことになります。

ただし、全額を個人で負担するのではなく、会社と個人で半分ずつ支払うことになります。そのため、毎月の給料に対する9.87%の半額が健康保険料として給与から差し引かれることになります。

また、社会保険においては、この健康保険料以外にも、厚生年金保険料などもあり、それらは一般的に毎月の給料から差し引かれることになります。

国民健康保険とは?

地方自治体が運営している健康保険で、住民基本台帳に記載があり、会社の健康保険に入っていない人が加入する医療保険です。観光目的以外で日本の滞在期間が3ヶ月以上である場合は加入する義務があります。例えば、勉学のために日本に留学している外国人の学生やワーキングホリデーで来日している外国人は国民健康保険に加入しなければなりません。

英語、スペイン語、中国語など多言語で国民健康保険についての説明が記載されているリンクもありますので、国民健康保険についてもっと知りたい方は、是非ご参考にしてみてください。(国民健康保険について/多言語

国民健康保険の保険料はいくらのなか?

住んでいる市町村、所得などによって保険料は大きく異なります。以下のサイトでは国民健康保険料の目安がシミュレーションができます。ただし、市区町村によって保険料は異なりますので、あくまで目安として使ってみてください。

国民健康保険料シミュレーション

医療保険に加入するための手続きや必要期間

働く人が加入する健康保険(社会保険)の手続き

健康保険(社会保険)は、日本で働くことを目的として来日した外国人が企業へ入社するときに加入できる医療保険です。そのため、加入する条件としては第一に就労可能なビザを持っていることが必要です。

社会保険(健康保険)は外国人自身が手続きを行うのではなく、入社した企業と共に手続きを行うことになります。企業側準備した書類に対して個人情報の記入を行い、有効期限の在留カード、パスポート、マイナンバーカードなどの必要書類を付けて企業側から加入予定の健康保険組合に提出することになります。

健康保険(社会保険)が使えるようになるまでの期間

「協会けんぽ」を例に挙げますと、企業側が書類を提出した日から、大体7〜10日程度で保険証が届くようです。ただし4月など入退社の多い繁忙期は届くのが遅くなる傾向にあります。あくまで例になるので、加入する健康保険組合によって期間は異なります。

国民健康保険の手続き

国民健康保険に加入するときは、入国日、引っ越しをした日、または、社会保険の健康保険の加入者である資格を失った日(退職した日など)から14日以内に手続きを行う必要があります。もし会社を退職した場合でも、次の転職先に入社するのが14日以内であれば、入社した会社で健康保険(社会保険)の手続きをすれば国民健康保険への手続きは必要ありません。

日本では健康保険に加入することが義務となっているため、手続きの遅れが発生した場合は、遅れた分を後日請求されますので注意しましょう。万が一、保険に加入してない期間、病院などへ行った場合の診察料などは100%自己負担になります。

以下に国民健康保険に加入するために必要なものを紹介したいと思います。

留学の場合

  • パスポート
  • 在留カード
  • 学生証
ワーキングホリデーの場合

  • 在留カード
  • パスポート
健康保険(社会保険)への加入資格を失ったとき(退職した時)

  • 在留カード又は特別永住者証明書
  • 社会保険(健康保険)資格喪失証明書、離職票、退職証明書、源泉徴収票(退職日の記入のあるもの)などのうちいずれかひとつ

国民健康保険が使えるようになるまでの期間

健康保険(社会保険)とは異なり、国民健康保険は市役所などで加入者自身が手続きを行います。手続きをしたその当日に保険証が発行され、その日から病院などで利用できます。

まとめ

日本では「少し熱っぽい」、「気分が悪い」、などの軽い症状でも全国民が気軽に病院に行ってもらうために医療保険への加入を義務付けしています。その分、個人が実際に病院で支払いをする金額は3割程度になります。

また、高額療養費制度という制度もあり、収入に応じて毎月の医療費の自己負担額に上限が定められており、対象となる手術や入院をして医療費が高額になった場合においても、自己負担の上限を超えた医療費は払い戻しを受けることができます。

今回は以上になります。