【転職】日本企業が求めるフロントエンドエンジニアとは

世界中を見渡しても、ほとんどの企業が自社のホームページを持つようになったネット社会。日本も例外になく、企業が自社のホームページを持つことは当たり前になっています。そのような状況から、エンジニアを採用し、専任でWebページ制作を行う日本企業も増加傾向にあると言われています。

今までのサイト制作では、デザインやHTMLなどを組む作業をWebデザイナーが担当するのが一般的でした。しかし、近年の日本ではクオリティの高いWebページは企業のイメージアップにつながることから、工程ごとに担当者をわけて制作を行う体制が多く見られます。

その制作体制のひとつのポジションが、Webデザイナーが作成したデザインをもとにWebページの構築を行う「フロントエンドエンジニア」です。日本企業からのニーズが高まっているフロントエンドエンジニアに求められるスキルや仕事内容について解説します。

日本のフロントエンドエンジニア

ユーザーが直接目にしたり、触れたりする部分のWebサイトやアプリのフロントエンド開発に携わるエンジニアのことを指すフロントエンジニア。業務内容は多岐に渡りますが、主にWebデザイナーが手がけたデザインをもとにHTML、CSS、JavaScript(jQuery)、PHPなどを使ってのWebサイトのコーディング、WordPressの構築やカスタマイズなどを行います。

フロントエンジニアと似た職業としてコーダーがありますが、日本ではまずコーダーを経験して、WebデザイナーのイメージをWebに再現できるようになってから、フロントエンジニアを目指すキャリアプランを描くエンジニアが多いと言われています。クライアントやユーザーの視点を取り入れ、使いやすいサイト設計や構成などを行えるフロントエンジニアに、日本企業から大きな期待が寄せられています。

海外と日本のエンジニアが置かれている環境の違い

アメリカでは大学や大学院で専門知識を学び、学位を得ることでエンジニアとしてのキャリアをスタートさせることができます。しかし、日本では知識やスキルがないところからスタートでき、働きながら学ぶエンジニアも多いのです。そのため、社会的な地位や平均年収が高いアメリカに比べて、これまでの日本ではそれほど地位や年収は高くはありませんでした。

それが近年では、日本もIT技術の重要さが理解され、フロントエンジニアをはじめとしたエンジニア全般を高く評価する日本企業が増えてきています。その背景には、IT産業が年々活発化し、IT技術者のニーズが高まっていることが関係しています。

フロントエンドエンジニアに求められるスキルと年収

フロントエンドエンジニアはWebページを作ることが求められるため、HTMLやJavaScript、CSSといった言語の知識やスキルは必要不可欠とイメージされる人は多いのではないでしょうか。当然、使用できる言語が多ければ多いほど、表現の幅が広がり、クライアントからの要望に応えられますが、それに加えて「フレームワーク」や「コミュニケーション能力」「UI(ユーザーインターフェース)の理解力」といった部分も求められます。

◆フレームワーク

フロントエンジニアとして活躍していくためには、フレームワークを使いこなせることは重要なポイントです。特にVue.js、Angular、React.jsといったフレームワークを使えれば、作業の効率化だけではなく、統一したコードの書き方ができるため管理もしやすい。不具合の防止にもつながるので、まだ知識が足りないと感じる人は早めの習得が必要です。

◆コミュニケーション能力

フロントエンジニアの必須スキルと言ってもいいのが、コミュニケーション能力です。理由は、ユーザーが利用しやすいWebページを作る際、クライアントから指示を出すのは難しい部分があります。そのため、フロントエンドエンジニアはクライアントから要望を聞き出すほか、ときには自分から提案をするといったコミュニケーション能力が必須なのです。また、コミュニケーションを取る相手は、クライアントだけではありません。デザインを担当するWebデザイナーやシステム構築を担当するエンジニアなど、社内でのコミュニケーションも重要です。自分の業務だけに集中するのではなく、全体を見てコミュニケーションを取りながらWebページの制作を進める能力が求められます。

◆UI(ユーザーインターフェース)の理解力

先ほどもお伝えしたとおり、近年の日本ではクオリティの高いWebページは企業のイメージアップにつながるという考え方が広がっています。しかし、技巧に走ったデザインは魅力的である反面、複雑な操作性を煩わしく思うユーザーもいるかもしれません。そこで求められているのが、ユーザーが利用しやすいWebページを構築するために、ユーザーの視点に立ったUI(ユーザーインターフェース)設計スキルです。最近では、パソコンだけでなく、スマートフォンからWebページにアクセスするユーザーも増えています。つまり、デバイスに合わせたインターフェースを理解する力が必要なのです。

フロントエンドエンジニアの気になる年収

年齢や経験年数でばらつきは見られるものの、フロントエンドエンジニアの年収はおおよそ380万円ほどと言われています。IT業界の中では比較的低い額ですが、日本国内でのニーズは年々高まっているため、コツコツと経験を積み、スキルを獲得していくことで収入は着実に上がっていくことでしょう。

大手企業とベンチャー企業の違い

フロントエンドエンジニアのキャリアパスとしては、主に開発マネージャーなどの管理側、エンジニアの道を極める現場側のいずれかが挙げられます。

もしも管理側を目指すのであれば、マネジメントのスキルや知識、チームメンバーの進捗管理が必要となります。そして現場側を目指す場合は、日々最新の情報をキャッチし、新しい言語が登場すれば習得するような努力を積み重ねるのが良いでしょう。

また、フロントエンドエンジニアは、転職を重ねながらキャリアを積んでいることも多くあります。大手企業、ベンチャー企業に転職した場合の環境の違いを比較してみましょう。

大手企業に転職した場合

企業規模が大きいと、部署や職種ごとに業務範囲が細かく分かれます。そのため、関係者の人数が多く、会議が繰り返し行われることも珍しくありません。したがって意思決定が遅く、スピード感のある仕事をしたい人には働きづらさを感じるでしょう。

しかし、分業により自分のすべき業務が明確に分かれているため、必要以上に時間を拘束されることは少ないと言えます。業務後に自分の時間を確保できるので、参考図書やプログラミングスクールを通してスキルや知識を培うことも可能です。

大手企業では、さまざまな規模の案件に携わった経験をもとに、業務の進め方や使うツールをすでに確立していることが多いです。その反面、企業規模が大きいからこそ、進まないこともあります。例えば、業務効率の向上を目指し、新たなツールを導入しようとしても、上層部の承認に時間がかかってしまうケースも多くあります。そのような環境ですが、案件の幅が広い分、経験値を高められ、困った時の対処法なども学ぶことができます。

ベンチャー企業に転職した場合

ベンチャー企業は大手企業より資金やリソース面では劣りますが、自由度が高いという特徴があります。「リソースが少ないから、このツールで業務効率を上げよう」と新しいツールの導入を行えるなど、自分の意見が通りやすい環境があります。より働きやすく職場を改善するためにどんどん声をあげたいと考えている人には最適です。

また、大手企業では昔からの日本の考え方が根強く残っており、今も年功序列の企業もあります。そのような場合は、経験が浅ければ急激なキャリアアップは難しいかもしれません。しかし、ベンチャー企業は代表を含め比較的若いメンバーが多く、能力が高ければ昇進することは十分に可能です。

そしてベンチャー企業は、自分がやってみたいことに積極的にチャレンジできる環境でもあります。経験を積むために貪欲に取り組める人にとっては、ベンチャー企業への転職がおすすめです。「いずれは起業したい」と検討している人も、間近で会社経営の全てを学ぶことができるベンチャー企業での経験は後に生きてきます。

「もう少しエンジニアとして勉強がしたい」と考えている人は大手企業に、「自分のスキルをもとにキャリアアップを目指したい」と考えている人はベンチャー企業に、転職をすると良いでしょう。

フロントエンドエンジニアには将来性がある

業界や規模に関わらず、自社のホームページなどに力を入れている日本企業では間違いなく、今後も多くのWebページを制作していきます。そして、デザインやツールのアップデートは繰り返されるため、当然ながらWebページもその都度微調整が必要になるのです。高まっていくフロントエンドエンジニアのニーズに応えながら、どの企業でも問題なく業務ができるよう常に自分自身のアップデートを続けることが重要です。一生戦っていけるフロントエンジニアを目指し、まずは自分のキャリアプランを洗い出すところから始めてみてはいかがでしょうか。