世界中の優秀なIT人材が、日本に集まる環境を作っていきたい!株式会社SHIFT

G Talent/GitTapでは、グローバル人材の採用を通じて、多くの企業様を支援させていただいております。エンジニアの採用がますます困難になる中、注目されているのが「グローバル採用」です。しかし初めての取り組みで、なかなか導入まで踏み切れない企業様も多いのではないでしょうか。本特集では「グローバル採用の実情」や「活用のための取り組み」を、グローバル採用の先進企業にインタビュー。グローバル採用をご検討中の企業様に、ご参考いただければ幸いです。第七回目となる今回は株式会社SHIFT 上席執行役員 兼 人事本部 本部長菅原様にお話を伺いますこれまでの記事はこちら)

―貴社の事業内容について教えてください。

 SHIFTは、日本の「品質」という強みを世界に届けるべく、ソフトウェアの開発に必要不可欠な「テスト」から事業をスタートし、品質保証を中心にIT全般にサービス領域を拡げている企業です。開発プロジェクトの上流工程におけるコンサルティングから、品質を意識した開発業務、製品リリース直前のテスト業務、さらにはソフトウェアの運用やセキュリティに至る領域まで、安心・安全な製品を世の中に届けするために必要な技術、サービスを幅広い業界、業種のお客様に対して提供しています。

「ソフトウェアテスト(第三者検証)」専門という国内における5.5兆円のブルーオーシャン市場において、他社にはないビジネスモデルを構築、毎年高い売上高成長率を継続しております。さらに、近年中に売上高1,000億円、2030年までには売上高3,000億円を達成することを目標とした中長期成長戦略「SHIFT3000」を掲げています。

近年は、品質保証を軸とした事業で培った技術や業務知見をもとに、さらなる成長を遂げるべく、お客様の「売れるサービスづくり」の推進を支援する、DXの総合サービス企業へと変革をはかろうとしています。DX推進、開発・インフラ、IT・基盤コンサルティング、セキュリティ、運用効率化など、100数十もの独自サービスを提供しており、さまざまな支援を提供しています。

金融、流通などのエンタープライズ領域から、公共、自動車、通信、不動産などの産業、Webやゲームなどのエンターテインメント領域までありとあらゆる産業において、ユーザー企業様との直接取引のもと、多様なプロジェクトに参画しています。

現在、30を超える専門企業がSHIFTグループに所属しており、テスト、コンサルティング、PM/PMO、UI/UX、デジタルマーケティング、SREなど、従業員にとって多様なキャリアが選択できる企業になってきました。テストエンジニアとして入社した方がセキュリティ領域にリキャリアするなど、各自の資質や能力を活かして、グループ内でキャリアチェンジをはかれることも特徴の一つです。

現在SHIFTグループには、9,000人を超える従業員が在籍しており、そのほとんどはITエンジニアです。従業員の広がりと共に国内の各地域に新拠点を次々とオープンしており、ベトナムにも約200人のITエンジニアが集まる拠点として、グループ会社を運営しています。

オフショアというと、コスト削減を目的として海外に低賃金で業務委託するのが一般的ですが、SHIFTのベトナム拠点に所属するITエンジニアは、世界からみても極めて高い技能や経験を有する優秀な方たちばかりです。SHIFTは、国籍に関係なく、優秀な人材に対して適正な報酬をお支払いすることをモットーとしており、ひいては報酬体系を含めてIT業界を変革していくことを目指しています。それゆえ、ベトナムで活躍するITエンジニアに対しても、グローバル水準の年収帯で報酬をお支払いしています。また、SHIFTでは、過去数年にわたり、年間昇給率平均10%超えを維持していますが、今後はグループ全社のすべての従業員に対しても、より一層の「やりがいのある仕事」と成果に対する「報酬」でしっかり応える好循環を生み出していきたいと考えています。

 ―外国籍エンジニアを採用するきっかけは何だったのでしょうか?

 かねてより国籍に関わらず、当社の業務で能力やスキルを発揮いただける優秀な方を積極採用していきたいという想いがありました。近年は国内だけでなく、グローバルを主戦場として事業展開をはかる企業様をご支援させていただくなど、支援するプロジェクトにも徐々に広がりが出てきました。そのため、外国籍エンジニアの採用を本格的に強化するべく、受け入れ環境の整備を進めると共に、約200名の人事担当者の間では外国籍エンジニアを受け入れるための基礎知識の標準化をはかってまいりました。

ようやく受け入れ環境も整い、採用に関する知識も統一できたことから、満を持して採用の門戸を広げることになりました。昨期(2022年8月期)には、グループ全体としての年間の中途採用人数は約2,500人を数え、今後も、3,000人、4000人と日本で圧倒的No.1の採用力を持った企業となることを目標に、全方位での施策を展開していく予定です。

具体的には、国内の首都圏、地方拠点のITエンジニア採用と並行して、外国籍エンジニアの採用を強化しています。昨期は年間70人程度であった外国籍エンジニアの採用数を、数年後には300人規模にまで増やすことを目指しています。もちろん、先ほどのオフショアに関する給与水準の話と同様、安価な労働力を利用するといったことではなく、SHIFTが外国籍エンジニアの採用数を増やす方向に舵を切った背景にはそれとは一線を画する考えがあります。

最たる目的は、日本のIT業界をさらに活性化させるために、優秀なITエンジニアを増やすことです。日本は、労働人口の現象などにより今後100万人のITエンジニアが不足すると言われている国です。さらに、SHIFTでは、独自の試算によって、今後ITを日本の基幹産業としていくためには、少なくとも400万人のITエンジニアが必要であると考えています。ただし、現実にはアメリカでは人口の約1.5%を占める477万人のITエンジニアがいるのに対し、日本はわずか0.86%の109万人しかいません。

この現状を打破するためには、国内だけではなく海外の人材市場に目を向けることで、より優秀な人材を獲得できる可能性を拡げられると考えています。これまでは日本に在住する外国籍エンジニアを対象に採用活動を行ってきましたが、今年3月より海外から日本への新規入国制限が緩和されたことを受け、海外に在住する外国籍エンジニアの採用も本格的にスタートしたところです。

組織やプロジェクトに広がりを生み出す、
外国籍エンジニアのめざましい活躍

―外国籍エンジニアを採用するメリットはどんな点にありますか?

外国籍エンジニアの方が加わることによって、物事に対する考え方がいい意味で覆されて組織に柔軟性や広がりが生まれてきたと思います。その一例として、国内の大手アパレル企業様のECサイトのグローバル展開をご支援した際、大いに活躍してくれた外国籍エンジニアの話をご紹介させてください。

そのプロジェクトは、特性上、お客様企業の海外支社やITエンジニアなど海外とのコミュニケーションが大半を占めるために英語力が必須でした。しかし当時はまだ英語に強い人材が多くなく、このプロジェクトを遂行するに値するスキル、顧客ナレッジ、英語力を両立できるメンバーを集めるのは難しい状況で、いかにして体制を構築するかということが課題でした。

検討を重ねた末、スキルと顧客ナレッジを兼ね備えた日本人エンジニアのシニアマネージャーをPMに、英語が堪能な外国籍エンジニアをPLとして、タッグを組む形で進めていくことにしました。PMは英語を話せますが、ネイティブと渡り合えるレベルでの流暢さは備えておらず、PLは入社して間もなかったこともあり、スキルや顧客ナレッジが不足していました。しかし、お互いの強みを活かしながら足りない部分を補い合い、二人三脚の体制で進めていくうちに良い化学反応が生まれ、PMの英語力ならびにPLのスキルや顧客ナレッジがおのずと向上し、プロジェクトの推進を無事成し遂げることができました。

中でもPLをけん引した外国籍エンジニアにおいては、はじめはPMの指示や発信を通訳するような役割を担っていましたが、その過程を通じてスキルやナレッジを最速で吸収し、お客様側の様々な国のエンジニアの方々60名に向けたテストキックオフのミーティングを一人で仕切ることができるまでになりました。同時に、入社後わずか9ヶ月でPLからPMへとキャリアアップを果たし、報酬面でも、一年で約20%の昇給を果たすなど、今後ますますの成長が期待されている人材の一人です。この成長ストーリーを候補者の方にお話させていただくと、特にマネジメント希望の外国籍エンジニアの方から、「私も、この会社でそんな風に成長したい」と好意的な意見をいただくことが多いです。

「SHIFTのチームは、これから他国でのロールアウト対応において大変頼りになると確信しています」とお客様からも嬉しいお言葉をいただきました。当初は、1ヶ国での海外展開をご支援していましたが、直近では11カ国以上の展開に携わらせていただいており、外国籍エンジニアの活躍によってプロジェクトにも広がりが出てきています。

現在、SHIFTでは中国、韓国、台湾など、アジア圏を中心とした外国籍エンジニアが在籍していますが、お客様の「売れるサービスづくり」を基点に企業のDX支援に特化したDAAE部では、ヨーロッパやアメリカからのメンバーも活躍しています。この部署は、サービスづくりの企画フェーズからプロジェクトに参画し、「攻めのDX」でお客様のサービス成功を迅速に実現することがミッションです。この事業は昨年から急速に成長しており、外国籍のエンジニアも増えている状況です。

 ―その逆に、苦労したことや大変だったことはありますか?

 課題としては大きく2つあります。1つ目は日本語力です。先ほどお話したように海外のプロジェクトも徐々に増えつつあるのですが、全体としては日本のお客様が多く社内での公用語は日本語となっていますので、外国籍エンジニアの方にはビジネスレベル以上の日本語力を備えていることが求められます。

日本語力の判断基準としては、採用面接時の日本語でのコミュニケーション能力のほか、当社が独自開発したテストエンジニアの素養を見極めるための検定試験「CAT検定」も受けていただいています。CAT検定は、国籍に関係なく全候補者の方を対象とした、いわば当社に入社するための採用試験のようなものです。すべて日本語で行われますのでかなりハードルが高いとも言えますが、かなり厳しく見させていただいているのが現状です。
とはいえ、今後事業を拡大していく中で、英語のみで成立するプロジェクトなどが増えていけば、日本語力に関しては採用基準を見直していくことになると思います。

2つ目は、人事として外国籍エンジニアを受け入れるための知識にばらつきがあったことです。ただし、この課題に関しては先にもお伝えしたとおり、知識の標準化をはかり採用のフローや制度面に関しても整備できたので、本腰を入れて採用を進められる土台を築けた状況にあります。

さらなる採用力の強化にあたって、
環境整備の改善点を見出すことができた

SHIFT 社内風景

―外国籍エンジニアの採用後に得られた効果や変化について教えてください。

外国籍エンジニアの積極採用を本格化したことで、さらに改善していくべき点が少しずつ見えてきました。これらを解決することができれば、今後採用力を強化していく上で、会社にとって非常に大きなメリットになると思っています。現在、従業員の多くは日本人ですので、海外から入社した方にとっては文化的な違いから疎外感やストレスを感じてしまうこともあると思います。そういったことが起こらないように配慮する必要がありますし、楽しく働いていただくためにも環境面の整備にはさらに力を入れていく考えです。

最近は外国籍エンジニアの方も含めて、毎月100名以上が当社に入社されています。入社直後に、当社代表の丹下や役員陣がオンライン上で、自己紹介を交えたウェルカムランチを開催しているのですが、外国籍エンジニアの方たちと実際にお話すると、日本人と同じでアニメが好きだったり、韓国ドラマを見ていたり、ソロキャンプが趣味の人もいて、非常に面白いです。国籍に関係なく、当社のミッションやビジョンに共感してくれる仲間が増えたことを実感できて、とても嬉しく思います。

SHIFTでは「会社経営は街の運営」と考え、やりがい、給与、仲間を大切な3つの柱として捉えています。その1つである仲間においては、部署や業務を超えたつながりや相互理解をはかる意味でイベントの開催や、バスケ部、サッカー部、野球部などの部活動も盛んに行われています。最近では、多様なメンバーが増えてきたこともあり、「英語を身につけよう!」と有志が集まって、英語だけで会話をするEnglish Cafe部も新しく創部されました。仕事も遊びも本気で取り組むところは、SHIFTの特徴といえるかもしれません。そのほか、部署内でのオンライン飲み会など、メンバー間の交流も活発に行われています。

世界中の優秀なIT人材が、日本に集まる環境を作っていきたい

SHIFT_社内風景_

―今後の展望についてお聞かせください。

現時点での外国籍エンジニアの採用に関しては日本語が必須となっていますが、今後は海外プロジェクトの獲得にも力を入れ、英語のみ話す人材が活躍できるような環境も整えていきながら、先数年で海外拠点もベトナムだけでなくアメリカやヨーロッパにも拡大し海外での現地採用も進めていきたいと考えています。

お客様の機密情報を多く取り扱うSHIFTでは、海外からのリモートワークは難しいのが現状ですが、打てる施策はあると思いますし、IT業界の一端を担うSHIFTの真価が問われるところでもありますので、海外リモートワークの導入にもチャレンジしたいと思っています。

そして、世界各国から優秀な人材が集まる企業として成長を遂げ、その方たちがさらにレベルアップできる教育や育成の機会を創出しながら、成果に対する適正な報酬体系を全社に根付かせていきたいと考えています。

―最後に、外国籍エンジニアの採用を検討されている企業の方にメッセージをお願いします。

DX全盛の時代において、国内でITエンジニアを確保し育成していくことはもちろん必要ですが、それと同時に日本は高度なスキルを持つ人材を呼べる国にならなければならないと思います。外国籍エンジニアに「日本で働きたい」「日本に行って活躍したい」と思ってもらうためには、仕事内容の面白さはもちろんのこと、多様なバックグラウンドを持つ人々が働きやすい職場環境を整えていくことも必要です。

SHIFTは、世界中から優秀なIT人材が日本に集まる環境を作っていくために、これからも尽力していきたいと思っています。特にITの領域で頑張られている皆様、そうした環境づくりに共に取り組み、日本のIT業界を一緒に盛り上げてまいりましょう!

インタビューを終えて

着実に受け入れ環境の整備を進め、満を持して本格的に外国籍エンジニアの採用に取り組み始めた株式会社SHIFT。組織の中長期的な成長のために、外国籍エンジニア採用を検討している企業様は、ぜひ本記事をご参考いただければ幸いです。

G Talent/GitTapでは、企業様のグローバル人材採用をご支援しております。各サービスの詳細は、下記バナーからご覧いただけます。またエンジニア採用の悩み、グローバル採用のコツなどございましたら、お気軽にご相談ください。