日本で働く(日本語)

給与・税金

日本で働く外国人労働者は押さえておきたい日本の税金

外国人労働者が日本で働くようになると、「日本の税金」を支払うことになります。日本の税金に関する知識がないと、減額できるのに余分に支払ったり、支払いを忘れて遅延税も含めた高額な請求を受けたりするケースがあるようです。税金で損をしないよう、まずは日本の税金の基礎と外国人にかかる日本の税金について知っておきましょう。 日本の税金の種類 日本で生活する外国人労働者はもちろん、短期間だけ働くために来日した外国人も、日本で働いて収入を得た場合などには税金を支払わなければいけません。日本の税金は、国に支払う「国税」と都道府県・市区町村に支払う「地方税」に分かれます。以下の表は、日本の主な税金をリストアップしたものです。 このように日本には数多くの税金がありますが、すべてを理解する必要はありません。たとえば、消費税や酒税などの「消費にかかる税金」は買い物をするときに支払うお金に含まれているので、払い忘れや払い過ぎが起こることはありません。また、自動車税や固定資産税などの「財産にかかる税金」は、車や土地などの財産を持っている人が支払う税金で仕組みもシンプルです。 日本で生活する外国人労働者が最低限理解しておきたいのは、「所得税」「住民税」「相続税」の3つになります。 外国人労働者の所得税 所得税ってどんな税金? 所得税とは、お金を得たときに支払う税金のことです。日本では、所得のある人は所得税を支払う義務があり、原則として毎年1月1日からの1年間で得た所得のすべてに課税されます。 外国人労働者は自分の「区分」を確認しよう! 日本の所得税法は「居住形態」によって個人を区分しており、その区分によって課税される税金の範囲が変わってきます。外国人労働者は、自分が以下のどの区分に該当するかを把握する必要があります。 外国人労働者が所得税を支払う基準・範囲 日本で生活する外国人労働者が支払うべき所得税の課税対象は、以下のとおり3つの区分によって変わってきます。 外国人労働者も税金を減らせる「所得税の控除」とは? 所得税額を求める算式は、以下のとおりです。 所得税額 = 所得金額 × 税率 この算式はあくまでもベースであり、控除(税金を減額する制度)は考慮していません。日本の所得税には様々な控除があります。控除の方法は「所得控除」と「税額控除」に分かれ、所得控除は所得金額から一定額をマイナスし、税額控除は所得税額から一定額をマイナスします。両方の控除が適用になる場合は、算式を以下のように修正します。 所得税額 = (所得金額 - 所得控除額) × 税率 - 税額控除額 また、所得控除・税額控除には、それぞれ以下のような種類があります。 居住者である外国人労働者は、各控除の要件を満たしていれば、基本的に日本人と同じようにすべての控除を受けることができます。一方で非居住者は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3つの控除しか受けられません。 数ある控除のなかでも、日本で生活する外国人労働者が知っておくべき控除は「外国税額控除」です。 外国税額控除とは? 海外所得に所得税がかかる外国人労働者(居住者)は、母国と日本の両方に税金を支払わなければいけないのかという「二重納税」の問題があります。この二重納税を防ぐため、国同士が締結しているのが「租税条約」です。 日本と租税条約を結んでいる国から来た外国人労働者がいたとします。その人が母国で得た所得について母国で所得税を支払った場合、その旨を日本に申告すれば、母国で支払い済みの所得税額を日本の所得税からマイナスしてもらえます。この控除が「外国税額控除」と言われるものです。 ただし、日本と租税条約を結んでいない国出身の外国人は二重納税をする必要があります。また、租税条約を結んでいても、締結国によって外国税額控除の範囲などが異なるケースもあるので注意が必要です。 >> 租税条約締結国はこちらでご確認ください(我が国の租税条約ネットワーク 参照) 外国人労働者の住民税 住民税ってどんな税金? 住民税とは、住んでいる自治体に支払う税金のことで、道府県民税と市町村民税の2つからなります。 住民税額を求める算式は、以下のとおりです。 住民税額 = 所得割 + 均等割 ※ 所得割とは? 所得金額に応じて負担する金額。基本的に、前年の所得金額 × 10%(市町村民税6% + 道府県民税4%)で求める。 ※ 均等割とは? 所得金額にかかわらず同じ自治体に住む人が定額で負担する金額。地域差はあるが、大体5,000円前後。 外国人労働者が住民税を支払う基準・範囲 住民税は、国籍にかかわらず自治体に住所がある個人に対して課税される税金です。住所があるかどうかは、その年の1月1日を基準に判断されます。たとえば、2019年2月1日から日本で働いていても、2019年1月1日時点では日本に住所がなかった外国人労働者は、2019年の住民税は発生しません。 また、住民税の所得割は前年の1月1日からの1年間で得た所得のすべてに課税されます。逆に言えば、前年の所得がない外国人労働者には所得割は発生しません。 外国人労働者の相続税 相続税ってどんな税金? 相続税とは、死亡した人の財産(不動産・有価証券・預貯金など)を相続したときに支払う可能性のある税金です。 相続税額を求める算式は、以下のとおりです。 相続税額 = 相続財産 - 基礎控除 × 税率 - 控除額 相続税にも様々な控除があります。また、税率は10%~55%と相続財産の額によって変わってきます。 外国人労働者が相続税を支払う基準・範囲 外国人労働者が相続税を負担するかどうかは、以下のように、相続人(相続する人)や被相続人(亡くなった人)の住所が国内にあるか国外にあるか、また相続財産が国内にあるか国外にあるかによって変わってきます。 海外財産を相続するときも日本で相続税が発生するケースがありますが、この場合、二重払いが生じることになります。ですが、相続税についても所得税と同様に「外国税額控除」が適用されるため、租税条約を結んでいる国出身の外国人労働者は二重払いを回避できます。 まとめ 日本で税金を滞納すると督促状が届きます。督促状が届いても支払わないままでいると延滞税が膨らんでいき、最終的には行政処分を受けて給料や財産が差し押さえられます。 外国人労働者が会社員として日本で働くのであれば所得税・住民税は給料から天引きされるため、自分で支払う必要はありませんが、個人事業主やフリーランスとして働く場合は自分で支払う必要があります。払い忘れや払い過ぎを防ぐため、基本的な知識は身に付けておきましょう。 また、日本の相続税は非常に複雑なうえ10ヶ月という申告期限があります。万が一、相続が発生したら、すみやかに専門家に相談するのが賢明です。

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プログラミング言語ランキング!日本で高年収の言語はコレ

外国人エンジニアの方は、それぞれ得意なプログラミング言語があると思います。とはいえ、200以上もあると言われるプログラミング言語は移り変わりが激しく、次々と新しい言語が登場しては注目を浴びています。日本でITエンジニアとして働くのであれば、日本でよく使われているプログラミング言語を習得していないと、やりたい仕事に就ける可能性も低くなってしまうでしょう。 本記事では、これから日本で働きたい外国人エンジニアに向け、日本で人気の高いプログラミング言語のランキングやトレンド、また、高収入が狙える言語などをまとめています。 日本でのプログラミング言語ランキング 「プログラミング言語実態調査 2018(日経xTECH)」は、日本のシステム・ソフトウェア開発現場で実際に使われているプログラミング言語の調査結果を発表しています。この調査は、ITエンジニアに現在使っているプログラミング言語を3つまで答えてもらう方法でおこなわれました。結果は、以下のとおりです。 <プログラミング言語実態調査 2018(日経xTECH)>をもとに作成 人気ランキング1位「C/C++」!その魅力とは C言語は、1972年にアメリカで開発されたプログラミング言語です。現在使われている多くのプログラミング言語はC言語の影響を受けて開発されており、プログラミング言語の源流のような存在だと言えます。汎用性に優れているのが特徴で、OS開発から機械を制御するシステム、デスクトップアプリケーションや組み込みシステムまで、幅広く採用されています。 C/C++は、C言語の拡張版として1993年に開発された、オブジェクト指向型のプログラミング言語です。C言語と同様に汎用性が高く、OS、ゲーム、ブラウザ、ロボットなど身近なシステムに幅広く使われています。高速処理を実現できるため、画像解析が必要となるシステム開発にも重宝される言語です。 人気ランキング2位「JavaScript」!その魅力とは JavaScriptは、90年代中頃にアメリカで開発されたスクリプト型のプログラミング言語です。Webシステム開発には欠かせない言語であり、Webサイト制作からWebアプリ開発まで幅広く用いられています。OSに依存せずブラウザ上で動作するのが特徴で、Webページに組み込むことでよりインタラクティブな表現が可能になります。 人気ランキング3位「C#」!その魅力とは C#は、Microsoftが開発したプログラミング言語で、Microsoft独自のフレームワーク「.NET Framework」上で動作する言語です。Windows系のシステム・アプリケーション開発において幅広く採用されており、ゲームプログラミングにも用いられます。Microsoftが提供している統合開発環境(IDE)「Visual Studio」を使うことで、より強力で効率的な開発が可能になります。 人気ランキング4位「Java」!その魅力とは Javaは、90年代前半にアメリカで開発されたオブジェクト指向型のプログラミング言語です。”Write once, run anywhere”(一度、プログラムを書けばどこでも実行できる)という思想が息づいたJavaは、「JVM」という仮想マシン上で動作するのが特徴で、JVMさえ動けばOSに依存せずどんなコンピュータ上でも動きます。エンタープライズシステムや組み込み系システムの開発を得意とするほか、WebアプリやAndroidアプリ開発など幅広く用いられています。 人気ランキング5位「Python」!その魅力とは Pythonは、1991年にオランダで生まれたプログラミング言語です。従来から海外では人気のある言語ですが、近年では日本でも注目度が高まっています。文法がシンプルで書きやすい・読みやすい点と、充実したライブラリがあるのがPythonの大きな特徴です。Webアプリ開発にも使われる言語ですが、特にAIやビッグデータ、IoTなどの分野での活用が進んでいます。 業界別!日本のプログラミング言語トレンド ゲーム開発の業界でトレンドの言語は「C++」「C#」 C++は上述のとおり、C言語をより高度化するために拡張されたプログラミング言語です。C++は、コンピュータが理解しやすい書き方をするため処理速度が早く、ゲームプログラミングに向いており、ゲームを開発するためのライブラリも豊富です。 C#もゲーム開発に適したプログラミング言語で、ゲームを効率的に作ることができます。C#が使えるゲームアプリ開発環境「Unity」が世界的に普及していることもあり、C#でプログラミングをするゲームエンジニアは非常に多くいます。 Androidアプリ開発業界のトレンド言語は「Java」から「Kotlin」へ Javaは上述のとおり、優れた汎用性から幅広い開発現場で採用されているプログラミング言語です。Androidアプリ開発に適していますが、Webアプリやデスクトップアプリの開発にも使われます。後述するKotlinも勢いを増していますが、案件数・求人数などは、まだまだJavaのほうが多くを占めています。 Kotlinは、2011年に開発されたプログラミング言語で、GoogleがAndroidアプリ開発の公式言語に追加したことで話題になりました。Javaよりもシンプルなコードを書ける点や、開発における安全性を担保しやすい点などがメリットで、Androidアプリ開発にKotlinを採用する企業も増えています。 iOSアプリ開発業界のトレンド言語は「Objective-C」から「Swift」へ Objective-Cは、Appleが開発したプログラミング言語で、iOSアプリの開発言語として知られています。C言語をもとにオブジェクト指向化された言語です。Objective-Cで書かれたiOSアプリは多くありますが、近年は後述するSwiftに主役の座を譲りつつあります。 Swiftは、2014年にAppleが発表したプログラミング言語です。コードが読みやすく書きやすいなどのメリットから、iOSアプリ開発をSwiftへ移行する企業が増えています。 日本のプログラミング言語別の年収ランキング 「プログラミング言語別年収ランキング2018」は、ビズリーチが運営する求人検索サイト「スタンバイ」が発表したランキングです。このランキングは、スタンバイに掲載されている正社員の求人情報を対象に、各プログラミング言語名が含まれる求人情報の提示年収の中央値を集計したものです。結果は、以下のとおりです。 出典:プログラミング言語別年収ランキング2018【求人検索エンジン「スタンバイ」調べ】 高収入プログラミング言語ベスト3 1位「Go」 Goは、2009年にGoogleが開発したオープンソースプロジェクト向けのプログラミング言語です。Linux、Windows、MacOS X、Android、iOSなどの主要なOSにはすべて対応しており、そのシンプルな仕様からGoを開発言語とする企業も増えています。 日本ではLINEやメルカリ、はてなやGunosyといった企業がGoを導入しており、ここ数年で急激に注目度が高まっています。高年収を狙うため新しいプログラミング言語を習得するなら、Goは最有力の選択肢になってくるでしょう。 2位「Scala」 Scalaは、2003年に公開されたプログラミング言語で、オブジェクト指向と関数型言語の性質を兼ね備えた言語です。Javaとの高い互換性があり、Javaよりも短くてスマートなコードを書けるのが特徴です。 世界的にはTwitterやLinkedinなどでScalaが使用されており、日本ではChatworkやビズリーチなどでも採用されています。Scalaを採用する企業が増える一方で、Scalaを扱えるエンジニアは不足しているため、将来的に習得する価値のあるプログラミング言語だと言えます。 3位「Python」 AIやビッグデータ、IoTなどの分野で、近年活用が進んでいるプログラミング言語がPythonです。Pythonは、機械学習やディープラーニングに最適なライブラリが充実しています。 有名なところでは、YoutubeやDropbox、InstagramなどもPythonによって構築されています。AIやビッグデータを用いた分析・取引が増え続けていることもあり、Pythonエンジニアを求める企業が増加しています。 まとめ 外国人エンジニアが日本で働くには日本語力も重要ですが、やはり土台として、プログラミング言語のスキルや開発実績は欠かせません。日本企業にニーズのあるプログラミング言語のスキルを高めたり、新たなプログラミング言語を身に付けるなど、ITエンジニアとしての成長意欲が高い人なら日本で有利な就職・転職ができるはずです。

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外国人エンジニア向け!日本語力を測る検定「JLPT」とは

近年、ITエンジニア不足に悩まされる日本では、大企業だけではなく中小企業においても、外国人エンジニアの採用を進めています。さらに、外国人留学生や海外での大学卒業予定者を対象とした新卒採用に力を入れる企業も増えています。 このように日本には、外国人エンジニアが活躍できるフィールドが広がっているわけですが、外国人エンジニアが日本企業で働くにあたってクリアしなければいけないのが「言葉の壁」です。「有利な条件で働きたい」「高収入を狙いたい」と考えるのであれば、開発スキルや経験はもちろん、「日本語力」も重要なポイントになってきます。 本記事では、日本企業が外国人エンジニアを求める背景や、外国人の日本語力を測る目安になる「日本語能力試験(JLPT)」などについて解説していきます。 外国人エンジニアを採用したい日本企業が増加中! 近年、日本企業では外国人エンジニアの登用が急ピッチで進んでいます。以前は、大企業に目立った傾向でしたが、最近では中小企業も外国人エンジニアの獲得に乗り出しています。 なぜ今、日本人エンジニアではなく外国人エンジニアに注目が集まっているのか?様々な要因がありますが、大きくは以下の「少子高齢化による人材不足」と「グローバル化への対応」の2点に集約されると思います。 少子高齢化による人材不足 日本の少子高齢化は、非常に深刻な局面を迎えています。今後は、少子高齢化が進んで労働人口が減少することで、今以上にITエンジニアが不足することが懸念されています。経済産業省は、「2030年には約41万人(楽観値)~約79万人(悲観値)のIT人材が不足する」という予測を発表しました。全産業的なITエンジニア不足を日本人の人材だけでは補いきれないため、外国人エンジニアの獲得が進んでいるのです。 グローバル化への対応 近年、日本企業は海外マーケットに進出していますが、日本人だけにこだわった採用活動をしていては、グローバル化の流れに追いつけず、企業の成長が鈍化してしまいます。そこに危機感を覚えた日本企業は、外国人の人材を積極的に採用するようになりました。ITエンジニアにおいても、優秀な外国人を採用することで労働力を補完できるだけでなく、多国籍の人材が融合することで企業の発展につながります。 日本語能力試験(JLPT)はN2以上が望ましい! 日本で働きたい外国人エンジニアにとって、今は追い風の状況と言えますが、異国で働く際に避けて通れないのが言葉の問題です。外国人エンジニアが日本で就業しようと思ったら、ITエンジニアとしてのスキルだけでなく「日本語力」も必要になってきます。 外国人の日本語力を測る基準として一般的なのが、「日本語能力試験」です。 日本語力を測る「日本語能力試験」とは? 日本語能力試験(JLPT:Japanese Language Proficiency Test)は、日本語を母国語としない人のための日本語能力を測定するための検定です。7月と12月の年2回、試験がおこなわれます。 ※「日本語検定試験」という似た名称の検定がありますが、こちらは日本語を母国語とする人向けの検定です。 日本語能力試験の初年度(1984年)の受験者数は全世界で約7,000人でしたが、2019年には日本の47都道府県、海外86カ国・239都市で実施され、約90万人が受験しています。 日本語能力試験のレベルは5段階 日本語能力試験は、主に日本語を「読む能力」と「聞く能力」が問われる検定です。レベルはN1~N5の5段階に分かれており、レベルごとに試験問題が違います。N1がもっとも難易度が高く、N5がもっとも難易度が低くなっており、自分の日本語力に合わせて受験できます。 日本語能力試験のレベルは、外国人の日本語力を測るための重要な指標です。外国人の就職・転職、昇給・昇格、留学・入試など、様々な場面でN1~N5のレベルが使われています。 外国人エンジニアに求められる日本語力はN1・N2 外国人向けの求人情報では、「必須スキル:日本語能力試験2級(N2)」や、「望ましいスキル:日本語能力試験1級(N1)」といった記載を目にすることがあると思います。 外国人エンジニアに求められる日本語力は企業によって異なりますが、一般的には「N1」「N2」のレベルが求められます。最近はエンジニア不足の深刻化により、N3レベルでも募集をしている企業もありますが、有利な条件で就職・転職をするためにはN1・N2レベルが望ましいでしょう。 N1は非常に難易度が高く、合格するのに必要な漢字数は約2,000文字、単語数は約10,000語とも言われています。これは、日常的に日本語を使っている外国人のレベルです。N2の合格に必要な漢字数は約1,000文字、単語数は約6,000語とされており、N3に比べると大幅に難易度が上がります。 なお、日本語能力試験の公式サイトでは、N1・N2の認定の目安を以下のように定めています。 >>日本語能力試験の目安はこちら 日本語力を高めるとエンジニアとしての価値も高まる! 日本企業には英語を話せる社員がいないケースも・・・ 外国人エンジニアに日本語力が求められるのは、英語を話せる日本人社員が少ないことも一つの理由だと言えます。 ITエンジニアの仕事は、英語でコミュニケーションがとれればプロジェクト運用に大きな支障はありません。しかしながら、英語を話せる日本人は少なく、企業によっては英語でのコミュニケーションが難しいケースもあります。英語が苦手な採用企業からすると、外国人エンジニアは日本語ができることが必須であり、日本語力は高いに越したことはないのです。 将来的には外国人エンジニアの橋渡し役にも! 日本語ができる外国人エンジニアは、日本人エンジニアとコミュニケーションをとりながら働くことができます。うまく連携できればプロジェクトを効率化できますし、トラブルが起きるリスクも最小限に抑えられます。 当然のことですが、母国語や英語しか話せないエンジニアよりも好条件で働けますし、キャリアアップを考えるうえでも有利です。将来的にはPMとして活躍したり、ブリッジSEとして外国人エンジニアの橋渡し役になることも考えられます。 面接で「話す力」をアピールしよう! 日本語能力試験のN1・N2を取得している人は、中国や台湾など漢字圏の国の人が多い傾向にあります。一方で、非漢字圏の国の人にとっては漢字の読み書きが難しいため、日本語能力試験での点数も低くなってしまうようです。 しかしながら、日本語能力試験では「話す能力」は問われないため、試験のレベルは話す能力に比例しないケースもあります。たとえば、日本語能力試験はN3でも、コミュニケーションに支障がない方もいるでしょう。そういった方は、採用面接でアピールできる可能性もあります。 外資系ではなく日本企業であれば、通常、採用面接は日本語でおこなわれますので、その際にうまくコミュニケーションがとれれば、採用の道が開けるかもしれません。 まとめ 現状では、日本語レベルが高い外国人エンジニアは、開発スキルや経験に乏しい傾向にあるようです。この裏返しも同様で、開発スキルや経験が豊かな外国人エンジニアは、日本語レベルが低い傾向にあるようです。 いずれにせよ、日本でITエンジニアとして活躍するためには、日本語力が大きなポイントになってきます。日本語力を高めることが人材としての希少性を高め、それが年収アップやキャリアアップにつながるはずです。そして何より、日本語力を高めることができれば、プライベートも含め日本での生活はより充実したものになっていくでしょう。

その他

日本で働くITエンジニアの休日の過ごし方

現代社会において、日々急速な進化を遂げているIT業界。その最先端の知識・技術を駆使し、ITエンジニアとして日頃から忙しく働いている方々が、どのような休日の過ごし方をしているのか。また、趣味はあるのかなどを日本でITエンジニアとしての働く外国人エンジニアのみなさんにご紹介していきます。 ITエンジニアの働き方改革は進んでいるのか 一億総活躍社会の実現に向けて、2019年4月から本格的に動き出した「働き方改革」。IT業界においても、働く環境を向上させるべく、労働時間の適正化や、テレワーク、副業・兼業、フリーランスといった柔軟な働き方を取り入れた“ワーク・ライフ・バランス”の実現に注目が集まっています。 とくに近年では、ダイバーシティの促進によって多様な人材の活躍の場が広がっており、既存のワークスタイルとライフスタイルに大きな変化をもたらすターニングポイントを迎えています。 ITエンジニアのお休み事情 大手企業と中小企業とでは、ミッション性や案件の違いもあるため、ITエンジニアの休日に関しては取り方も日数も様々です。そのため、休日の充実度にもまだまだ差があるというのが実情。オンとオフのメリハリを大事にしているので、休日は思いっきりリフレッシュしているという人もいれば、平日だけでは業務が回らずに休日も仕事をしているという人もいます。 休みをちゃんと取れるのか 一般企業に勤めるITエンジニアの基本的な休日は、土曜と日曜(完全週休2日制)が主流となっています。中には、休日が土曜・日曜といった固定の曜日ではなく、シフト制というカタチをとっている企業もあります。 仕事柄、プロジェクトとして稼働している案件の納期が迫っているタイミングや、システムエラーなどのトラブルが発生してしまった場合に、休日出勤を余儀なくされるケースも少なからずあります。ただし、最近では休日出勤を行わないようにスケジュールを改善する企業も増えていますし、本来の休日とは別日に代休を取っているというエンジニアもいます。 休みが取れないときはどんな時? ITエンジニアは、その人によってプロジェクトや担当する工程の業務内容(ボリューム)が異なるので、繁忙期のタイミングがあらかじめ決まっているわけではありません。そのため、どうしても長い作業時間を要する場合には、残業や休日をつかって対応せざるを得ない時があります。具体的には次のようなケースが挙げられます。 プロジェクトの提案段階での遅延 プロジェクトを進めていくための基盤となる工程が「提案」です。その重要性から、残業になることも多く、納期が迫っている場合はスピードが要求されるため、時間を拘束されることがあります。 設計に則った構築時の不具合 構築を担う工程では、単体テストや結合テストがクリアできなかったり、設計通りに進まなかった際の遅延が大きく影響します。ここでのタイムロスを挽回するために休日出勤をするケースがあります。 運用・監視における問題発生 担当範囲により異なりますが、インフラ全般を担うエンジニアは、運用・監視の中で何らかの問題が発生すると、休日返上またはシフト変更を行って対応しなければならない場合があります。 保守業務でのトラブル 保守は基本的に年中無休で稼働する工程のため、人員不足による対応の遅延やシステム障害が起こった場合は、その回避に労力が掛かり休日に対応することがあります。 ITエンジニアの休日の過ごし方 工程ごとに様々なミッションを抱えるITエンジニア。プロジェクトの進捗状況によっては多忙な日々を過ごしている彼らですが、一体どのような休日を過ごしているのか。独身や既婚など、ライフスタイルの違いはありますが、貴重なオフでの時間の使い方や趣味などについてお伝えしていきます。 休みはどんな過ごし方をしているのか 数ある業界の中でも、日に日に新しい技術が生まれているIT業界。そのスピード感についていけなくなれば、業務に支障をきたします。そのため、仕事以外の時間は通常業務では出来ないプログラミングの勉強をしているエンジニアも多いようです。中には、趣味がプログラミングという方も。 現役のITエンジニアを対象にしたアンケートでは、1日5時間以上をプログラミングの勉強に費やしているという方が全体の約7割を占めるという結果が出ています(ITエンジニアの勉強時間は月20時間以上/「paiza」アンケートより) どんな趣味を持っているのか もちろん勉強が趣味というITエンジニアばかりではなく、様々な趣味に没頭しているという方は沢山います。では、具体的にどんな趣味を持っているのか、その例をいくつかご紹介します。 スポーツ スポーツ鑑賞と思いきや、スノーボードやサッカー、中には弓道やロードバイクでツーリングなど、身体を動かすことを趣味にしている方が多くいるようです。普段はデスクワーク中心なので、アクティブな趣味を持つことは健康維持や精神面でのリフレッシュにも繋がります。 読書・音楽 家でゆっくりとした時間を過ごしたいという方は、読書や音楽を趣味にする傾向にあるようです。中には、コーヒーが好きでバリスタやコーヒー豆の専門書を愛読しており、ゆくゆくは兼業でコーヒーショップを経営することが夢だという20代のITエンジニアもいます。 ブログ 仕事で得た知識や技術を活かして、ITネタを記事にしたブログを趣味にしている方もいます。IT関連の最新ニュースや、ガジェットの使用感レビュー、PC関連の不具合解消法など、自分の強みを活かしたとても素敵な趣味です。 ITエンジニアが休みを作るためにすること 忙しい日々を過ごすITエンジニアが上手に休みをつくるためには、どのような方法があるのでしょうか。職場のマンパワー的な問題で常に忙しいというケースもあると思いますが、実は普段の仕事に対する姿勢や意識を少し変えることで、意外と休める方法が見つかります。 職場・案件の空気を読みすぎない 職場が常に殺伐とした雰囲気であるため、休んではいけないわけではないのですが、周囲に気を遣って休みづらいというケースがあります。このような感覚をもつのは、責任感が強く真面目なタイプの方に多い傾向があります。 精神的なダメージも大きく、働き過ぎによる体調不良を招く原因にもなるので、自分自身の仕事が順調であるなら周りを気にせず健康を優先して休みましょう。 仕事はほどよい量を引き受ける 優秀な人には、周囲からの期待や信頼度が高いため仕事が多く舞い込んできます。とはいえ、当然のことですが一人でこなせる仕事量には限度があります。「期待を裏切りたくない」「がっかりさせたくない」という気持ちも分かりますが、あきらかにキャパシティを超えるような場合は、お断りすることもプロとしての大事な判断力に繋がります。時には、仲間にお願いすることも組織のチーム力を成長させる上で大切です。 上司などに時間を取ってもらって相談する 多すぎる仕事量や、社内の慌ただしい雰囲気などを我慢し続けると、それが当たり前のように常態化してしまい、健全な判断ができなくなってしまいます。忙しそうにしている上司を呼び止めるのは気が引けるという方もいると思いますが、現状抱えている悩みや相談は時間をつくってもらい伝えるようにしましょう。 上司自身がその問題に気付いていないこともあるので、良い結果に繋がる可能性は必ずあります。 まとめ これからの時代、さらに活躍の場が広がっていくITエンジニア。仕事で新たにチャレンジできることが増えるのは良いことですが、やはり心身を休めることは人生を豊かにする上でとても大切なことです。国としても柔軟な働き方を推進しているので、古くからの体質を改善する企業も増えていくでしょう。 ぜひ、休日は気分をリフレッシュさせて、趣味や将来への自己投資の時間として有意義に使い、素晴らしいITエンジニアライフを楽しみましょう。

給与・税金

日本の給料の仕組みを解説!手取り目安と計算方法

日本の給料の仕組みをきちんと理解せず、貰えると思っていた給料よりも少ない額が口座に振り込まれていた…といった経験がある外国人は多いはず。そこで、給料の手取り額の目安と計算方法について解説していきます。 仕事をする者すべてが知るべき給与の仕組み 企業に貢献し、労働の対価として得ることができるお給料。それは、生活していく上で必要不可欠な財産です。月給などの固定給であれば、それが毎月の生活水準を決定づけるとても大切な指標になります。しかし、入社前の段階で把握していた給与額より低い額が手元に入ったとなれば、大変なショックを受けます。そんな状況にならないためにも、給与の仕組みや知識を深めることは転職の際などに気持ちよく仕事をスタートする上でとても役立つはずです。 給料の手取り額とは 給与支給日に、実際に指定の銀行口座などに振り込まれるお金を日本では「手取り額」と言います。これは、会社から支払われる給与の総額から社会保険料や税金を引いた金額になります。その詳細を知らない人たちは「思っていたより少ない…」と感じてしまうのです。 「手取り」とはどういうことを指すのか 手元に入る実収入=「手取り」となるわけですが、お給料には様々な内訳が存在します。時給・日給・月給などの基本給や残業代・各種手当など、会社から支給される「額面」から、各種保険料や年金などの社会保険料と所得税や住民税といった税金を「控除」として引いた金額のことを指します。 「額面」と「控除」について 手取り金額を知る上で重要になるのが「額面(総支給額)」と「控除」になります。この額面と控除についての知識を得ることで、自分の収入がどのような仕組みで決まっているのかという理解力を高めることができます。詳しくは下記の通りです。 「額面」とは会社から支払われる総支給額 額面の内訳には様々なものがあります。これは企業によって違いがあるため注意が必要です。 (1)基本給 時給・日給・月給など、支払額が決められた基本となる金額のことです。この基本給には、残業代や各種手当、歩合給などのインセンティブは含まれていません。 (2)時間外労働手当 企業ごとに決められている勤務時間(労働時間)を超えた分、または1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えた分を支給(時間給から25%以上割増)する手当、つまり残業代のことです。 (3)超過勤務手当 法廷労働時間を超える残業の中でも22時以降の深夜残業(時間給から25%以上割増)や、休日労働(時間給から35%以上割増)などをして働いた場合に支払われる手当。 (4)資格手当 専門職をはじめ、企業が定めた業務上必要になる資格を保有している方に支払われる手当。国家資格など取得難易度の高さに応じて金額が変わるケースもあります。 (5)役職手当 一般的には、キャリアアップなどで管理職などの役職に就いている方に支給されます。係長・課長・部長などの役職に応じて金額が変わるケースが大半です。 (6)通勤手当 電車・バスなどの交通機関を使用して通勤する方に、全額または一定額の交通費を補助する手当。車通勤が可能な企業ではガソリン代を支給することもあります。 これらの他にも、扶養家族がいる社員を対象に生活補助として一定額支給される家族手当や、家賃・住宅ローンなどの住宅費を補助する住宅手当、出張がある企業は出張手当など、独自の手当も多数あります。 「控除」とは給料から天引きされる総額 保険料や年金などの社会保険の半額と、住民税や所得税から算出されます。所得税を除いては、金額が決定してからの1年間は金額が変動しません。 (1)健康保険 病気やケガをした場合に、3割負担で医療機関を受診できる国の医療保険です。保険料の負担は勤務先と半額ずつになります。また、加入している健康保険組合によって保険料率が異なります。 (2)雇用保険 様々な給付制度がある中でも、失業した際に失業給付などが受けられる保険として広く認知されています。企業の事業内容により保険料率が異なります。 (3)介護保険 対象年齢である40歳以上になると加入義務が発生する保険で、介護を必要とする際に1~2割の負担で福祉サービスを受けることができます。 (4)厚生年金 加入者本人と勤務先とが半額ずつ負担し、年金の支給を受けるための掛け金を払う制度です。 (5)所得税 個人が1年間に得た所得に対して課税される税金のことで、年収によって税率が変動します。企業に勤めている場合は「源泉徴収」で天引きされ、「年末調整又は確定申告」で精算されます。 (6)住民税 働く人の居住地となる都道府県や市町村に納める税金のことです。前年度の年収により金額が決定されます。 その他にも、労働組合費や退職積立金、社宅などの家賃を引かれるケースがあります。 実際に給与明細を見てみよう 手取り額を確認する上で、実際の給与明細を見ることが最も分かりやすいです。企業によって明細書の仕様や項目名は異なる場合がありますが、一般的には「差引支給額」の項目に記載されている金額が「手取り額」になります。 手取りの目安とは 「額面」と「控除」について詳しくお伝えしてきましたが、入社前の情報として求人票などに記載されている給与が分かれば、ある程度の手取り額を把握することができます。ここからは、その目安となる金額の出し方について説明していきます。 額面の何%が手取りでもらえるのか おおよその目安としては、額面の約80%(75~85%)が手元に入る「手取り額」となります。ただし、人によって同じ額面でも手取りの割合は変動します。例えば、前年度の年収や扶養家族の人数により「控除」の対象となる金額が違うためです。また、額面が高くなると所得税率も上がり、だいたい60万円を超えると手取り額の割合は75%を下回ることになります。 独身と扶養家族がいて扶養控除を受けた場合の手取り例 独身者のケースでは、額面で月給25万円の場合、約80%の19万7690円が手取り額となります。扶養家族が2人いる既婚者のケースでは、所得税・住民税で優遇される「扶養控除」を受けられるので、額面で月給25万円の場合は、独身者(扶養0人)に比べて約9000円多い20万6430円が手取り額となります。 手取りの計算方法とは 先ほどもお伝えした通り、額面の約80%が手取りとなります。つまり、計算方法としては額面に0.8を掛けることでおおよその手取り額が算出できます。※所得税や扶養家族の有無などによって変わる控除合計と連動して手取り額も変わるので注意が必要です。 給料の正確な手取りの計算方法 額面(総支給額)と控除の内訳がわかれば、正確な手取り額は簡単に導き出せます。計算方法は「基本給+固定手当+変動手当(ボーナス以外)」-「社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険)」-「税金(所得税、住民税)」で算出することができます。 ボーナス(賞与)からおおよその手取り額を導き出す方法 企業によっては年2回や1回のボーナスを支給する場合があります。そのボーナスに関しては、額面の約82%でおおよその手取り額を計算することができます。例えば、基本給(月給)22万円の独身者が3ヶ月分の66万円を賞与としてもらう場合、手取り額は約54万円となります。こちらも控除合計によって手取りの割合は変わるので、ご自身のケースに当てはめてみてください。 転職活動時の注意点 転職活動中は、さまざまな求人情報を目にすることになると思います。その際も、手取り額に注意を払うことがとても大切です。間違った理解をしたままだと前職よりも収入が下がってしまう可能性もあるので、事前情報などの確認を怠らず、希望に合った企業を見定める知識を深めていきましょう。 求人情報の給料は手取り額ではない 日本の求人情報誌や求人サイトに記載されている給与のほとんどが「額面」の金額です。つまり、給与として手元に入る「手取り額」は、そこに記載された金額よりもっと少なくなります。そのため、前職(転職活動時の現職)より良い給与の転職先を探している場合は、額面による比較を行うか、求人情報に記載された給与に0.8を掛けて、おおよその手取り額を算出してから検討するようにしましょう。 希望給料額は手取りではなく額面を伝えよう 求人情報の中には「月給〇〇万円以上」や「月給〇〇~〇〇万円」のように、求職者の経験や能力によって給与が変わるケースもあります。面接で希望の給与額を聞かれた際は、必ず「額面」を伝えるようにしましょう。手取り額を伝えてしまうと、採用担当者はそれを額面だと認識してしまい、希望より低い収入となってしまいます。入社してから「こんなはずではなかった…」とならないように、額面での希望給与額を確認しておきましょう。 まとめ 転職先として良い企業や仕事に出会えたとしても、給与が想定していた額より少なくなってしまっては、生活を潤すことができません。そうならないためにも、手元に入るお金である「手取り額」を把握しておくことがとても大切です。採用情報などに記載されている額面に左右されることなく、この機会に正しい給与を見極める知識を身につけ、今後の転職活動に役立ててください。

ビザ

転職する時は要注意!就労ビザに必要な手続きとは

日本で働いて、経験を積んで、新たなスキルや知識を得るために刺激的な環境を求めて転職したい。そう考えている外国人エンジニアの方々はたくさんいることでしょう。しかし、日本では転職するにしても、就労ビザの手続きを行わなければいけません。もし、その手続きを怠ってしまったら、罰せられてしまうのです。そこで、転職する際に必要な就労ビザの手続きなどについて詳しく説明していきます。 外国人エンジニアが日本で転職するには? 現在、日本の転職市場は活況。特に人材不足が顕著なIT分野では、続々とエンジニアの大量採用を進めています。グローバル化の波にも後押しされ、特に外国人エンジニアのニーズは上昇中。外国人エンジニアを採用したい企業は急激に増えているのです。 しかし、エンジニアに限らず、外国人が転職するためには定められた手続きを行わなければいけません。日本で長期的に働いていくために、転職活動で気をつけたいことをケース別に説明していきます。転職先の職務内容によって、必要となる書類や手続きは異なってくるので、十分注意しましょう。 【CASE.1】職務内容がまったく同じ転職先に決まった 転職するときに注意しなければいけないのは、転職先での職務内容が今までと異なるかどうか、ということ。まったく同じ職務内容であったり、現在所有している在留資格の活動範囲内であれば、比較的スムーズに転職が可能です。 その場合、必要な手続きは、転職後14日以内に就労ビザの在留カードを持って、入国管理局に「活動機関に関する届出」を行なうこと。届出は「窓口」「郵送」「インターネット」から選べます。 もしも、届出を行わなかった場合は“20万円以下”の罰金。または、次回のビザ更新の際に“在留期間の短縮”といった罰則に処されます。転職先の会社がやってくれるわけではないので、「地方入国管理官署」または「外国人在留インフォメーションセンター」へ行き、自分自身で忘れずに届出を済ませましょう。 【参考】法務省:「活動機関に関する届出」について 【CASE.2】転職後の職務も活動範囲内のはずだが確信が持てない 外国人エンジニアが、転職先で前職と同じ内容の職務を行う場合、在留資格の変更は必要ありません。しかし、現在所有している就労ビザは、以前に勤めていた会社での就労に関して許可されたビザです。そのため、新たに勤めている会社の職務が在留資格の活動範囲内に認められるかどうかは、断言することはできません。 そうした不安要素を取り除くために、「就労資格証明書」を地方入国管理官署に申請しましょう。就労資格証明書の交付申請をすることで、現在所有している就労ビザが、転職先の職務内容に対応しているかを審査してもらえます。審査をクリアした上で交付されるので、確信を持って職務に専念することが可能です。 【CASE.3】職務内容が以前とまったく異なる職種を希望 外国人エンジニアとしてキャリアを歩んでいくなかで、新たな仕事にチャレンジしたい想いが芽生えることもあるでしょう。在留資格で定められた活動範囲外の職務に転職を希望する場合は、転職前に自分自身で「在留資格変更許可申請」を行わなければいけません。 在留期間中であれば、変更申請はいつでも可能。しかし、変更許可が出る前に範囲外の転職をしてしまうと、「資格外活動」と判断されます。そうなると、変更申請の許可がおりなかったり、在留資格そのものを取り消される場合もあるので、必ず在留資格変更許可申請を忘れないようにしましょう。 転職に必要な手続きと書類一覧 就労ビザは、外国人が日本で働いて、報酬を得ることを認めるもの。活動範囲によって就労が認められている在留資格は18種類に分けられています。 転職後、活動範囲から外れる職務を行ってしまった場合、不法就労に当たる可能性もあります。そのため、自分の在留資格がどの範囲まで活動を認められているのか、をしっかり把握しておく必要があります。上記で触れている内容も含まれますが、各手続きと必要書類について説明していきます。 【職務変更なし】在留期限が3ヶ月以上ある場合 まずは職務内容に変更がなく、在留期限が迫っていないかを確認しましょう。在留期限が3ヶ月以上ある場合、地方入国管理官署へ就労資格証明書交付申請を行います。この申請手続きを行うことで「就労資格証明書」の取得が可能。就労資格証明書は、新たに勤める会社の職務内容が、定められた活動範囲に該当するかどうかを確認するものになります。 就労資格証明書を取得しておくと、転職先で、所有する在留資格の活動範囲外の職務に従事させられるリスクが少なく済みます。また、通常の在留期間更新許可申請とほぼ同じ手続きなのでスムーズ。なお、交付申請には職務内容に変更がないことが大前提ですから、くれぐれも確認して行いましょう。 <就労資格証明書交付申請の必要書類> □就労資格証明交付申請書 □以前勤めていた会社の源泉徴収票・退職証明書 □転職先の会社の登記簿謄本・直近の決算書・会社案内等 □雇用契約書・辞令・給与辞令 □採用通知書 □理由書 □パスポート・在留カード 【参考】法務省:「就労資格証明書交付申請」について <必要書類の用意の仕方> *就労資格証明交付申請書は上記サイトよりダウンロード *源泉徴収票・退職証明書は以前勤めていた会社に発行を依頼 *登記簿謄本・決算書・会社案内・雇用契約書・辞令・給与辞令・ 採用通知書・理由書は転職先の会社で発行 【職務変更なし】在留期限が3ヶ月を切っている場合 職務内容の変更はないが、転職時期が在留期限まで3ヶ月を切っている場合があります。その際は、「在留期間更新許可申請」が必要。転職先の会社情報をつけて、地方入国管理官署に交付申請を行います。また、転職先の会社や職務内容で在留が認められない場合は、帰国を余儀なくされるリスクがあることを必ず押さえておきましょう。 <在留期間更新許可申請の必要書類> □在留期間更新許可申請書 □パスポート、在留カードの原本とそのコピー □直近の課税証明書、納税証明書(住民税)※上記必要書類の他に下記書類が必要です□以前勤めていた会社の源泉徴収票・退職証明書(ない場合はつけなくても可) □転職先の会社の登記簿謄本・直近の決算書・会社案内等 (決算の出ていない会社は今後1年間の事業計画書・今までの売上等の資料) □雇用契約書(活動内容・期間・地位・報酬などがわかる文書) □理由書 【参考】法務省:「在留期間更新許可申請」について <必要書類の用意の仕方> *在留期間更新許可申請書は上記サイトよりダウンロード *課税証明書・納税証明書は自治体に発行を請求 *源泉徴収票・退職証明書は以前勤めていた会社に発行を依頼 *登記簿謄本・決算書・会社案内・雇用契約書・辞令・給与辞令・ 採用通知書・理由書は転職先の会社で発行 【職務変更あり】の場合は在留期限を問わず要申請 転職先での職務内容が、現在所有している在留資格の活動範囲外の場合は、在留期限に関係なく、「在留資格変更許可申請」を地方入国管理官署に行わなければいけません。転職先での職務内容が、現在所有している在留資格の活動範囲内であれば「在留資格変更許可申請」は必要ありません。在留期限が3ヶ月以上の余裕がある方は、「就労資格証明書」を取得しておくといいでしょう。 <在留資格変更許可申請> □在留資格変更許可申請書 □以前勤めていた会社の源泉徴収票・退職証明書 □転職先の会社の登記簿謄本・直近の決算書・会社案内等 (決算の出ていない会社は今後1年間の事業計画書・今までの売上等の資料) □雇用契約書(活動内容・期間・地位・報酬などがわかる文書) □理由書 □パスポート・在留カード 【参考】法務省:「在留資格変更許可申請」について <必要書類の用意の仕方> *在留資格変更許可申請書は上記サイトよりダウンロード *源泉徴収票・退職証明書は以前勤めていた会社に発行を依頼 *登記簿謄本・決算書・会社案内・雇用契約書・理由書は転職先の会社で発行 就労ビザでわからないことはプロに相談を 日本で初めての転職は、いろいろな手続きや申請書類などがあり、困惑してしまう場面が出てくるかもしれません。その不安を1つひとつ解消していくために、自分自身で転職に必要な手続きや書類について調べることは、とても時間がかかります。 「必要な書類が多い」「専門的なことが多くてわからない」。そうした負担を軽減するためには、就労ビザの更新手続きに詳しい行政書士など、プロの方々にサポートしてもらうのも1つの手段です。スムーズな転職を実現できるように、検討してみてはいかがでしょうか。 <監修> 株式会社ACROSEED/佐野 誠(さの まこと) 大学卒業後、外国人雇用に特化した行政書士業務に従事。2006年、行政書士法人、社会保険労務士法人、税理士法人を併設した現在のACROSEEDグループの代表に就任。大手企業から中小企業までの外国人雇用コンサルティング、在留手続きを得意とし、その他、専門性の高い許認可の取得コンサルティング、外国人雇用に関する講演活動などを精力的に展開。「日本社会の調和と活力のあるグローバル化に貢献すること」をミッションとし、外国人や外国人雇用企業向けのプロフェッショナルサービスを提供。

キャリア開発

多様化するエンジニアのキャリアパス。日本で成功するには?

エンジニアとして活躍する外国人のみなさんにとって、日本で自分自身のキャリアをどう描いていけるかはとても気になるでしょう。 近年、エンジニアのキャリアパスは多様化しています。そこで本記事では、従来のキャリアパスから現在のキャリアパスへの変化、そして日本で成功を掴むための方法などを解説。今はまだ漠然としているキャリアパスを鮮明に描けるような情報をお届けします。 エンジニアのキャリアパスの変化 java、JavaScript、Perl、PHP、Objective-Cをはじめ、新しいプログラミング言語でのシステム開発、開発したシステムに関連する技術など、より専門的で細分化されたIT技術が求められるようになってきました。 その動きに比例するようにニーズに対応していくためエンジニアの役割も多様化しています。結果として、エンジニアのキャリアパスも多様化、複雑化。将来を描きにくくなっている方も多いのではないでしょうか。 とは言え、プログラミング言語は世界共通。スキルと経験があれば日本でも世界でも理想のキャリアパスを実現することができます。 この記事では、どのようにキャリアパスが多様化してきたのか、「今までのエンジニアキャリアパス」と「現在のエンジニアキャリアパス」を比較しながら、解説していきます。 今までのエンジニアキャリアパスとは PG(プログラマー) ▼ SE(システムエンジニア) ▼ PL(プロジェクトリーダー) ▼ PM(プロジェクトマネージャー) 上記が従来の一般的なエンジニアキャリアパスです。以前はPG (プログラマー)としてキャリアをスタートさせて、経験を積み重ねながらキャリアを歩んでいきました。このキャリアパスの形が近年では下記のように変化を遂げています。 現在のエンジニアキャリアパスとは PG(プログラマー) ▼ PM (プロジェクトマネージャー) ▼ ITコンサルタント ▼ ITアーキテクト ▼ ITスペシャリスト 上記が現在主流となっているエンジニアキャリアパスです。 この他にも「フルスタックエンジニア」といった専門分野に精通するエンジニアや「CTO」と言われるトップエンジニアへのキャリアパスも目指せるようになり、キャリアに応じた多様な道が現れてきています。 そして、今後のIT技術の発展によって、日本ではさらにキャリアパスは多様化すると考えられています。 エンジニアの多様なキャリアを紹介 新しいプログラミング言語の登場、新しい情報システムの開発など、目まぐるしくIT技術が変わるIT業界において、常に新しい専門技術者が誕生しています。そこで、多様なキャリアパスを描いていくために、エンジニアの各専門職について紹介します。 【今までの主流だったキャリアパスの各専門職】 PG(プログラマー) プログラマーは、システムエンジニアが設計したシステムに対して、java、JavaScript、Perl、PHP、Objective-Cなどの必要なプログラミング言語を使用して作業を行う技術者です。 SE(システムエンジニア) システムエンジニアは、クライアントがどのようなシステムを求めているかをヒアリングから正確に把握し、プログラマーに的確な指示を出して、最適な仕様のシステム開発を行う技術者です。 PL(プロジェクトリーダー) プロジェクトリーダーは、システム開発などのプロジェクトを遂行するための現場管理を行います。プロジェクトの要件定義や基本設計、詳細設計などを把握し、システム構築の確認、テスト、納品までを管理する現場責任者です。 PM(プロジェクトマネージャー) プロジェクトマネージャーは、開発するシステムに応じて、予算やスケジュールの決定や開発メンバーの招集を行い、プロジェクトチームを結成します。そしてクライアントに納品するまでプロジェクトを遂行していくマネジメント職です。 【現在の主流であるキャリアパスの各専門職】 ITコンサルタント ITコンサルタントは、企業のIT戦略の策定、システムの見直し、新システム導入の提案、システムの最適化・動作検証などを行います。「ヒアリング・分析」「提案」「マネジメント」と多岐に渡ってシステム開発業務を行う最上流工程を担当する職種です。 ITアーキテクト ITアーキテクトは、経営におけるビジネス戦略において、最適なシステムを開発するために共通仕様や要件定義、システムの方向性や検討・提案、運用・保守要件まで多岐に渡って行うことができる技術者です。 ITスペシャリスト ITスペシャリストとは、ITスキル標準(ITSS)が定める「プラットホーム」「システム管理」「データベース」「ネットワーク」「分散コンピューティング」「セキュリティ」の6つの専門分野のいずれかにおいて、レベル3以上を満たす技術者です。 【職種別の給与水準】 <出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(平成29年8月21日)> キャリアパスが多様化し、それぞれの職種によって収入にも差が出てきました。 上図はIT関連産業における職種別の給与水準です。プログラマーやシステムエンジニアからキャリアをスタートし、管理職系にキャリアアップするか、アーキテクト系でキャリアアップするかによって給与平均は変わります。これから歩みたいキャリアパスの指標として参考にしてみてください。 エンジニアが理想のキャリアパスを描くためには 思い描いているキャリアパスを実現するために“どんなプランを立てて行動に移していけばいいのか”。IT技術の発展、多様化しているからこそ、実現したいキャリアを歩むために「自分の市場価値の理解」「自分のレベルの把握」「キャリアプランの明確化」を行なっていくことが重要です。それではこれから、日本で成功を掴むためのキャリアパスのポイントを解説していきます。 外国人エンジニアの日本での市場価値 2019年をピークにIT人材は減少傾向となり、より一層の人材不足が懸念されています。そのことから、外国人エンジニアの採用にシフトした企業が増加。IT人材不足の解消はもちろんのこと、グローバル化の促進に期待を寄せる企業も増えています。 さらなる発展が予測されるIT業界で、外国人エンジニアの市場価値は高まり続けていると言えます。活躍の道がひらけている今、思い描くキャリアパスの実現に向けて行動を起こす良いタイミングとも考えられます。 <図1> <図2> <図3> <出典:図1–3経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(平成28年6月10日)> キャリアパスに大切なのは自分のレベルの把握 理想的なキャリアパスを描いていくためには「今の自分がどういうスキルを持っていて、どれくらいのレベルにいるのか」を正しく把握することが必要です。 自らのレベルを知るために、スキルを測るテストを受けてみるなどしてみましょう。自分のレベル感がわかることで、何が足りないのか、どんなスキルを新たに身につけるべきなのかが見えてきます。 思い描くキャリアプランを明確化 自分のレベルを把握できたら、キャリアプランを明確化するために「過去の分析」「現在の分析」「期間の設定」を行なっていきましょう。そうすることで、今の自分がどこに向かって進んでいるかが鮮明になってくるのです。 ①過去の分析 キャリアプランを明確にするためにまず過去の分析を行います。これまで経験してきた失敗や成功、掲げてきた目標などを書き出して、なぜそういう結果になったのかを細かく書いていきましょう。過去を振り返ると様々な課題が隠されていることに気づくことができ、自己分析にも有効です。 ②現在の分析 過去の分析が終わったら、「現在の分析」を行なっていきます。自分のレベルを把握する際に測ったスキルテストの結果を参考にしても構いません。 その他にも「いま任されている仕事」や「得手不得手」を過去の分析と同じように細かく書き出していきます。現在の自分を分析することで、どれくらい市場価値があるのかが鮮明になり、歩んでいきたいキャリアパスを描くのに有効です。 ③期間の設定 思い描くキャリアパスが見えてきたところで行うのが、期間の設定です。「3年後」や「5年後」と期間を決めて、どんなエンジニアになりたいかを書きます。 このようにプランを明確にすることによって、エンジニアとして進むべき道が見え、キャリアを華やかにしてくれるのです。キャリアパスが多様化しているからこそ、漠然としたままキャリアを歩まないようにしていくことを心がけていきましょう。 転職もイメージ通りのキャリアパスを描く1つの方法 日本で成功を掴むために、これからのキャリアをどう歩んでいくべきか。そんな疑問や悩みを持つ外国人エンジニアの方々はこれからも増え続けると予測できます。思い描いたキャリアパスが、今の会社でキャリアを積むことで実現できるのなら、そのまま働き続けることも選択肢の1つです。 それとは別に、よりチャレンジングにキャリアパスを描いていきたいと考えているなら「転職」を選択肢に入れることも必要です。ITに強いコンサルタントが、外国人エンジニアの転職をサポートしてくれるサービスもあるので利用してみてはいかがでしょうか。

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外国人エンジニア必見!日本で働くメリット・デメリット

AIやIoTなど、新技術の登場によって世界的にIT市場が拡大する一方で、日本ではITエンジニア不足が深刻な課題になっています。ITエンジニア不足を解消するため、政府や企業が注目しているのが外国人エンジニアの活用です。本記事では、今、日本で外国人エンジニアが必要とされている理由のほか、外国人エンジニアが日本で働くメリット・デメリットなどをお伝えしていきます。 外国人エンジニアが日本で必要とされている理由 AIやIoT、ブロックチェーンやロボットなど、近年、数多くの革新的なIT技術が登場しています。そんな中、いわゆる「第4次産業革命」に対応したビジネスの担い手として、ITエンジニアの需要が拡大しています。にもかかわらず、日本では十分なITエンジニアを確保できていないのが現状です。 ITエンジニア不足が深刻化する日本 日本は、他の先進国に比べて非常に速いスピードで少子高齢化、人口減少が進んでいます。ITエンジニアの需要は増加傾向にある一方で入職者は減少しており、今後はさらに労働人口が減少することで、今以上にITエンジニア不足が深刻化すると考えられています。 経済産業省の調査では、2015年のIT人材(※)は約90万人であるのに対し、約17万人が不足しているというデータが出ています。今後はさらに需要と供給の差が広がり続け、2030年には約41万人(楽観値)~約79万人(悲観値)のIT人材が不足すると予測されています。特に、情報セキュリティの分野では2020年に19.3万人が不足し、AIやIoT、ビッグデータの分野では2020年に4.8万人が不足する見込みです。 出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」 ※ IT人材とは、「IT企業およびユーザ企業の情報システム部門に所属する人材」 外国人エンジニアの獲得が進んでいる 日本におけるITエンジニア不足を解消するシンプルな方法は、供給を増やすことです。そのために、新しいエンジニア層の獲得に向けた動きが活発になっています。女性エンジニアやシニアエンジニアの活用も進んでいますが、上述のとおり、人口減少が避けられない日本において国内だけでITエンジニアの供給を増やすのは限界があります。そこで今、外国人エンジニアの獲得・活用が進んでいるのです。 外国人エンジニアを積極採用する企業が増加! 日本を代表するIT企業である「楽天」は社内の公用語を英語としており、採用においても積極的に外国人エンジニアを獲得しています。また、無料通信アプリの「LINE」が京都に設けた開発拠点(LINE KYOTO)のメンバーは、過半数が外国人エンジニア。約1,000人の応募者のうち8割近くが外国人だったと言います。フリーマーケットアプリの「メルカリ」では、新卒採用のエンジニア50人のうち9割近くが外国人ということで話題になりました。 このような大企業だけでなく、中小企業やベンチャー企業でも外国人エンジニアの獲得に乗り出す企業が増えています。 出入国管理上の優遇措置を受けられる「高度人材ポイント制度」 日本では、2012年より「高度人材ポイント制度」がスタートしています。この制度の目的は、海外の優秀な人材を呼び込んで日本の活性化を目指すこと。一定の要件を満たすことで出入国管理上の優遇措置を受けられ、エンジニアなどのIT人材も対象になります。高度人材ポイント制度によって、優秀な外国人エンジニアは日本で就労しやすくなっており、認定件数は年々増加しています。 >> 高度人材ポイント制度の詳細はこちら 日本で働く外国人エンジニアの数 出典:外国人雇用状況の届出状況について(厚生労働省)からグラフを作成 厚生労働省の調査によると、日本で情報通信業に就業している外国人労働者の数は年々増加しています。2018年は57,620人で、前年(52,038人)に比べて約5,000人の増加。2008年(18,030人)に比べると3倍以上に増加しています。 なお、国籍別で見るともっとも多いのが中国で、以下、韓国、ベトナム、アメリカ、フィリピンと続きます。 外国人エンジニアが日本で働くメリット メリット01:雇用が安定している 日本特有の雇用慣行である「終身雇用」は崩壊したと言われますが、それでも日本企業には長期雇用の慣習が残っています。また、日本企業では従業員に重大な法令違反・契約違反がある場合を除き、従業員が解雇されるケースはほとんどありません。雇用が安定しているのは、腰を据えて働きたい外国人エンジニアにとって大きなメリットと言えるでしょう。 メリット02:教育体制が整っている 多くの日本企業は、長期就業を前提に手厚い従業員教育をおこなっています。作業内容や作業工程はマニュアル化されており、充実した研修やOJTを受けられるのが日本企業の特徴です。「日本で習得したスキル・ノウハウを母国に還元したい」と考える外国人エンジニアにとって、充実した教育体制を整えた日本企業は魅力的です。 メリット03:母国より稼げる 外国人エンジニアの中には、母国への仕送りを目的に日本で働く人もたくさんいます。国によってエンジニアの給与水準は異なるので一概には言えませんが、母国に比べ日本の給与水準のほうが高い場合は、日本企業への就業は良い選択になるはずです。 メリット04:公的医療保険が充実している 原則として、日本で働く外国人は日本人と同様に保険料を支払い、公的医療保険に加入する義務があります。その結果、日本人と変わらない医療サービスを受けることができます。日本の公的医療保険制度(国民皆保険制度)は、世界的に見てもトップレベル。公的医療保険の制度がない国や制度が未熟な国も多いため、充実した公的医療保険を利用できることをメリットに感じる外国人は多いようです。 メリット05:文化、治安、インフラなど様々な魅力がある 近年、漫画やアニメ、和食や伝統工芸といった日本文化に興味を持つ外国人が増えています。また、多くの外国人は、日本に「治安が良い」「インフラが整っている」「街がきれい」「人が親切」といったイメージを持っています。自分が好きな国で暮らすために、日本で働くことを選ぶ外国人エンジニアも少なくありません。 外国人エンジニアが日本で働くデメリット デメリット01:長時間労働の可能性がある かねてから、多くの日本企業では長時間労働が常態化しており、特にIT業界では顕著でした。昨今の「働き方改革」によって労働時間の適正化が進む一方で、なかなか労働時間を削減できない企業もあるようです。そのため、外国人エンジニアは「残業が多い」「有給が少ない」「プライベートが充実しない」といった不満を感じることがあるかもしれません。 デメリット02:異文化理解が足りない企業もある 日本には、「郷に入りては郷に従え」という言葉があります(英訳すると、When in Rome, do as the Romans do.)。これも一つの考え方ですが、あまり行き過ぎると労使双方がお互いの文化や生活習慣の違いを尊重できず、トラブルに発展してしまうことがあります。日本で働く際は、異文化を受け入れる体制が整っている企業を選べるかどうかがポイントです。 まとめ IT業界を中心とした日本企業は、競争力を高めるために外国人エンジニアの獲得に動いています。外国人エンジニアを受け入れるため、社内環境の国際化を進める企業も増えています。今後は、外国人が働きやすい環境づくりが進み、外国人エンジニアが活躍できるフィールドはますます広がっていくでしょう。 2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博と、日本開催のビッグイベントが続くこともあり、今、日本には世界の注目が集まっています。国全体が大きな盛り上がりを見せている今は、外国人が日本で働く最適なタイミングだと言えます。日本が好きで、エンジニアとしての向上心がある方は、ぜひ日本で就職・転職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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履歴書の書き方〜外国人向けパーフェクトガイド〜

「日本語で履歴書を書くのは難しい」「初めてだから書き方がわからない」「履歴書ってどれくらい重要なもの?」。そんな風に思われている外国人の方々は多いのではないでしょうか。 日本では、履歴書が面接に進む前の合否の基準になる。だからこそ、正しい日本語で、日本のビジネスマナーを守って履歴書を書く必要があります。 そんな第一関門とも言える履歴書。きちんと書き方を学べば、どなたでもクオリティの高い履歴書を作成できます。 名前や住所などの基本情報をはじめ、「学歴・職歴」「免許・資格」「志望動機」「趣味・特技」など、履歴書をどうやって書けばいいのかわからない外国人の方々のために、この記事では履歴書の書き方を丁寧に解説していきます。 日本語の履歴書が書けないと困っている外国人の方々は、ぜひ参考にしてみてください。“この人に会ってみたい!”と思われる履歴書の作成を目指していきましょう。 履歴書の書き方のルール 履歴書を書き始める前に、まず知っておくべき“書き方のルール”があるので、忘れないようにしてください。もっとも重要なルールは以下の2つです。 ①書き間違えたら新しい履歴書に書きなおす ②同じ内容の履歴書を使い回さない 手書きの場合は、履歴書を書き間違えてしまった際に修正テープや修正液、二重線で訂正して書きなおすこともありますが、悪い印象を与えてしまいますので、新しい履歴書に書きなおすようにしましょう。 最初に鉛筆で下書きしてから、“黒いボールペン”で上から書くことでこのようなミスをなくすことができます。最近ではパソコンで作成した履歴書を受け入れる企業も増えています。しかし、まだまだ“履歴書は手書き”という企業も多いので、しっかりと理解しておきましょう。 同じ内容の履歴書を使い回さないことも重要です。なぜなら、企業の方々は履歴書を見るプロフェッショナル。そのため、他の企業の応募にも使用した履歴書を使い回すと内容の薄さを見抜かれ、企業の方々に働きたい想いが伝わりにくくなります。1社1社に合わせた履歴書を作成する。それが、書類選考の通過を勝ち取るポイントです。 他にも“書き方のルール”があります。「語尾は“です・ます・である”で統一」や「すべての項目を記入」「誤字・脱字をしない」といったことも注意して作成していきましょう。 サポートが充実している就職・転職サイトに登録すると、信頼できるエージェントが履歴書をチェックしてくれるので安心です。 履歴書の書き方〜基本情報〜 履歴書の書くためのルールを大切にしながら、履歴書の書き方を理解していきましょう。はじめに、履歴書の基本情報の書き方から解説します。 ①日付 日付は、履歴書を書いた日ではなく、履歴書を提出する日を記入します。郵送の場合は郵送日を記入。面接の時に持っていく場合は面接日を記入してください。また、年度の表記は「令和X年」の和暦表記か、「20XX年」の西暦表記のどちらかに統一しましょう。 ②名前 名前ですが、氏名と書かれている箇所に自分の名前を記入します。その際、名字と名前の間にスペースを空けて書きましょう。氏名欄の上にあるふりがなには、履歴書に合わせて“ひらがな”もしくは“カタカナ”で記入。 ひらがな・カタカナの記入の見分け方は「ふりがな」と書かれていれば「ひらがな」、「フリガナ」と書かれていれば「カタカナ」で記入します。また、日本ではファミリーネームを前、ファーストネームを後ろに書きます。 ③生年月日と年齢 ①の日付で表記した「和暦」または「西暦」に合わせて表記してください。履歴書を提出もしくは郵送する時点の年齢を記入します。 ④住所・連絡先 住所は「郵便番号」「都道府県」「番地」「建物名」「部屋番号」を省略せずに記入します。ふりがなも正確に記入してください。また、連絡先が住所と同じ場合は「同上」と記入。別の連絡先を希望する場合は省略せずに記入しましょう。 ⑤電話番号・メールアドレス 電話番号は、固定電話がない場合は携帯電話のみを記入。メールアドレスは、携帯電話ではなく、パソコンのメールアドレスを記入してください。企業がここに記載された情報に連絡をしますので、特に間違えないようにしましょう。 ⑥写真 「どこで撮影するの?」と疑問に思われる外国人の方も多いでしょう。履歴書用の写真は駅などに設置されている“証明写真機”や写真スタジオで撮影するのが一般的です。 その際、黒または紺のスーツ、無帽での撮影が基本。3ヶ月以内に撮影した正面写真(バストアップ写真)を履歴書に貼りましょう。貼る時は横3cm×縦4cmのサイズに切って、のりを付けて貼ってください。 履歴書の書き方〜学歴・職歴欄〜 ①学歴 まずは1行目の中央に「学歴」と明記。2行目から学歴を書いていきますが、最終学歴の1つ前から書くのが原則です。最終学歴とは「最後に卒業した学校」ではなく、「最も高い教育機関」のこと。例えば、大学を卒業してから専門学校に入った場合、大学のほうが教育機関としての水準は高いので、大学の1つ前の学歴から書いていきます。 学校名は必ず正式名称で明記。学部や学科、専攻コースまできちんと書いてください。入学・卒業年度は日付と同じ表記(和暦または西暦)で統一します。また、学校を中退した場合は「中退」、在学中の場合は「卒業見込み」と明記しましょう。 ②職歴 学歴の下に1行あけて「職歴」と中央に明記。働いた会社の順番に「入社年度・社名・業種・従業員数・簡潔な仕事内容」と「退社年度・退職理由」を記載します。 退職理由が自分都合の場合は「一身上の都合により退職」、解雇で退職した場合は「会社都合により退職」と明記しましょう。また、在職中の場合は「現在に至る」と明記。最後に「以上」と書いて締めくくります。 履歴書の書き方〜免許・資格欄〜 “免許・資格”は、正式名称が原則。取得年度も正しく記載してください。また、志望する企業で活かせる免許や資格を取得している場合、上位に明記するようにしましょう。免許や資格を取得していない場合は「特になし」と明記します。 履歴書の書き方〜志望動機欄〜 履歴書の中で、もっとも自己PRできるのが志望動機欄です。どの企業にも使えるような応募理由ではなく、志望する企業について調べ、「自分自身がどんな経験してきたのか」「どういう能力・スキルを持っているのか」「入社後にどんなことがしたいのか」「なにができるのか」などをわかりやすく、具体的に書いていきましょう。 <例文> 私はこれまでインフラからアプリケーションまで一貫したシステム設計の経験を積んできました。これまで培ってきたノウハウを活かしていくことで、グローバルに事業展開を推進している貴社のお力になれると思い、志望いたしました。英語・日本語を話すことができるので、貴社のグローバル展開をさらに加速させられるよう、事業を牽引していきたいと思っております。 <ワンポイントアドバイス> 「貴社」と「御社」の違いについて説明します。 貴社…履歴書やメールなどの書く時に使います。 御社…面接や商談などの話す時に使います。 細かい点ですが、しっかりと使い分けることで好印象を与えることができるので覚えておきましょう。 履歴書の書き方〜趣味・特技欄〜 “趣味・特技”は、面接担当者との会話で話題になることもあります。そのため、「特になし」と記載したり、空欄にするようなことは避けましょう。趣味や特技も仕事に関連することであれば、アピールにつながります。具体的な内容を記載するように心がけてください。また、マイナスな印象を与えるギャンブルや犯罪を連想させる趣味・特技などは記載NGなので注意してください。 <例文> 趣味はフットサルです。日本人の友人のチームに参加し、日本語でのコミュニケーションを大切にしながら、試合を楽しんでいます。特技はDIY です。モノを組み立てることが好きなので、手を動かしながら、頭を使って様々なモノを作ります。この組み立てて作る作業は、システム開発の場面でも活かされることが多く、役立っています。 履歴書の書き方〜本人希望欄・通勤欄・配偶者欄〜 ①本人希望欄 希望職種を明記。勤務地・給与・待遇などは「貴社規定に従います」と明記するのが原則のルールです。 ②通勤欄 会社までの通勤時間と最寄り駅を明記。通勤時間は90分以内が原則となります。また、遠隔地に住んでいたり、これから日本に来る場合は、入社後の転居や支障なく通勤できることも記載します。最寄り駅とは「自宅から1番近い駅」のことです。 ③配偶者・配偶者の扶養義務欄 結婚している外国人の方は配偶者の項目の「有」に丸をつけます。独身の場合は「無」に丸をつけてください。 質の高い履歴書を書いて希望の日本企業で働こう! 日本独自の“履歴書”に抵抗がある外国人の方々はたくさんいます。ですが、きちんと書き方を学べば、企業の方々に興味を持ってもらえる履歴書を作成することができます。 正しい日本語表現、日本のビジネスマナーを守って、質の高い履歴書作成にチャレンジしていきましょう。丁寧に書いた分だけ、希望の日本企業で働けるチャンスが訪れますよ。